学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §3 脈管系(循環器系) / QJ34A059

理由で解く 柔道整復師

QJ34A059 解剖学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問59
問題
心臓で正しいのはどれか。
選択肢
1 僧帽弁は3尖である。
2 上大静脈は左心房に入る。
3 卵円窩は心室中隔にある。
4 肺動脈幹は右心室から出る。
解答
正解4(肺動脈幹は右心室から出る。)
解説

右心室から出る太い動脈が肺動脈幹で、これが左右の肺動脈に分かれて肺へ向かう。したがって正解は4。

心臓の問題は、弁と血管を血流の順に一本の線としてたどると迷いにくい。全身→上大静脈・下大静脈→右心房→右房室弁(三尖弁)→右心室→肺動脈弁→肺動脈幹→肺→肺静脈→左心房→左房室弁(僧帽弁)→左心室→大動脈弁→大動脈、という順である。右心系は肺へ血液を送るポンプ(肺循環)、左心系は全身へ送るポンプ(体循環)で、高い圧を生む左心室の壁は右心室の約3倍厚い。また心房中隔の右心房側にあるくぼみが卵円窩で、胎生期に右心房から左心房へ血液を通していた卵円孔の名残である。この一本の線と胎児循環の名残を押さえれば、本問の4肢はすべて機械的に判定できる。

✓ 4. 正しい
肺動脈幹は右心室から出る。
右心室の流出路(動脈円錐)から肺動脈弁を経て肺動脈幹が出て、左右の肺動脈に分かれて肺へ入る。ここを流れるのは全身から戻ってきた静脈血であり、「動脈なのに静脈血が流れる」のが肺動脈、「静脈なのに動脈血が流れる」のが肺静脈という対になる。左心室から出るのは大動脈で、右心室=肺動脈幹/左心室=大動脈という対応で覚える。
✗ 1. 誤り
僧帽弁は3尖である。
僧帽弁(左房室弁)は前尖と後尖の2尖である。3尖なのは右房室弁で、こちらはそのまま三尖弁と呼ばれる。僧帽弁という名は司教がかぶる冠(ミトラ)に形が似ることに由来し、名前そのものが2枚の形を示していると結び付けると取り違えにくい。
✗ 2. 誤り
上大静脈は左心房に入る。
上大静脈は頭頸部・上肢など上半身の血液を集めて右心房に入る。右心房にはこのほか下大静脈と、心臓自身の静脈血を集める冠状静脈洞が開口する。左心房に入るのは肺から戻る肺静脈で、左右2本ずつ計4本である。「大静脈は右、肺静脈は左」と入口で二分して覚える。
✗ 3. 誤り
卵円窩は心室中隔にある。
卵円窩は心房中隔にあり、右心房側から見るとくぼみとして観察できる。胎児は肺呼吸をしないため、卵円孔を通して右心房の血液を直接左心房へ送り、肺をバイパスしていた。出生後に肺呼吸が始まると左心房圧の上昇によって閉鎖し、卵円窩として痕跡が残る。心室中隔に残る同様の胎児循環の名残はなく、動脈管の名残(動脈管索)は肺動脈幹と大動脈弓の間にある。
ポイント
  • 血流の順で覚える:大静脈→右心房→三尖弁→右心室→肺動脈弁→肺動脈幹→肺→肺静脈→左心房→僧帽弁→左心室→大動脈弁→大動脈。
  • 弁の尖数:右房室弁(三尖弁)=3尖、左房室弁(僧帽弁)=2尖。
  • 右心房に入るのは上大静脈・下大静脈・冠状静脈洞、左心房に入るのは肺静脈4本。
  • 卵円窩は心房中隔。胎生期の卵円孔の遺残で、心室中隔ではない。
  • 肺動脈には静脈血、肺静脈には動脈血が流れる。左心室壁は右心室壁の約3倍厚い。
比較表
右心系(肺循環へ送る)左心系(体循環へ送る)
心房に入る血管上大静脈・下大静脈・冠状静脈洞肺静脈(左右2本ずつ計4本)
房室弁右房室弁=三尖弁(3尖)左房室弁=僧帽弁(2尖)
心室から出る動脈肺動脈幹大動脈
動脈弁肺動脈弁大動脈弁
流れる血液静脈血動脈血
心室壁の厚さ薄い厚い(右の約3倍)
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