学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §24 上腕二頭筋長頭腱損傷の診察 / QJ34A026

理由で解く 柔道整復師

QJ34A026 必修問題

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問26
問題
上腕二頭筋長頭腱損傷で正しいのはどれか。
選択肢
1 肩関節内旋動作を繰り返すと発生しやすい。
2 上腕骨大結節との摩擦によって生じる。
3 中高年では発生頻度が高まる。
4 若年では遠位筋腱移行部での損傷が多い。
解答
正解3(中高年では発生頻度が高まる。)
解説

上腕二頭筋長頭腱は結節間溝の中で摩擦を受け続ける構造にあり、加齢による腱の変性が加わるため、中高年で損傷の頻度が高まる。

長頭腱は肩甲骨の関節上結節から起こり、関節内を通って結節間溝へ入るという特殊な走行をとる。肩を外転・外旋する動作を繰り返すと腱が溝の中を大きく滑動し、溝の壁や横上腕靱帯との間で摩擦が生じる。ここに加齢による腱の変性、結節間溝の骨棘形成、腱板や肩峰下組織の変性が重なると耐久性が落ち、40〜50歳代以降で腱鞘炎や断裂が増える。断裂すると上腕前面の膨隆が遠位に移動するポパイ変形が現れる一方、痛みはかえって軽くなることがあるので、変形と機能を併せて確認する。疼痛が続く場合や断裂が疑われる場合は、安静と固定を指示したうえで医師の診察につなぐ。

✓ 3. 正しい
中高年では発生頻度が高まる。
長年の摩擦に加齢による腱の変性が重なるため。腱板損傷や結節間溝の骨棘など、周囲組織の変性も同時に進んでいることが多い。
✗ 1. 誤り
肩関節内旋動作を繰り返すと発生しやすい。
負担が大きいのは外転・外旋を繰り返す動作(投球のコッキング、オーバーヘッド動作など)。この肢位で腱が結節間溝内を大きく滑動し、摩擦が増える。
✗ 2. 誤り
上腕骨大結節との摩擦によって生じる。
長頭腱が走るのは大結節と小結節の間の結節間溝で、摩擦を受けるのは溝の壁と、その上を覆う横上腕靱帯との間。大結節は棘上筋などの停止部であり、走行部位を取り違えている。
✗ 4. 誤り
若年では遠位筋腱移行部での損傷が多い。
若年者でも障害の中心は近位、すなわち結節間溝部である。上腕二頭筋の遠位腱の断裂は中年男性が重量物を持ち上げた際などに起こる別個の病態で、長頭腱損傷とは分けて理解する。
ポイント
  • 長頭腱は関節上結節から起こり、関節内を通って結節間溝に入る
  • 摩擦を受けるのは結節間溝(大結節と小結節の間)と横上腕靱帯の部分
  • 誘因となるのは外転・外旋の繰り返し。オーバーヘッド動作に多い
  • 加齢変性が加わる中高年で発生頻度が高い
  • 断裂ではポパイ変形が出現し、疼痛はむしろ軽減することがある
比較表
若年者中高年
主な背景スポーツでの反復ストレス加齢による腱の変性+長年の摩擦
好発部位結節間溝部(近位)結節間溝部(近位)
合併しやすい病態投球障害肩、関節唇損傷腱板損傷、結節間溝の骨棘
断裂の頻度低い高い(ポパイ変形)
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