学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §25 大腿部打撲・肉ばなれ、大腿四頭筋、ハムストリングスの診察 / QJ28A022

理由で解く 柔道整復師

QJ28A022 必修問題

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問22
問題
大腿部前面打撲の合併症で正しいのはどれか。
選択肢
1 骨化性筋炎
2 関節強直
3 脂肪塞栓症
4 フォルクマン (Volkmann)拘縮
解答
正解1(骨化性筋炎)
解説

大腿部前面の打撲は大腿四頭筋(とくに中間広筋)に深部血腫を作り、これが器質化・骨化する骨化性筋炎が代表的合併症。正答は1。

大腿前面は大腿骨と外力の間に厚い筋が挟まれるため、直達外力で筋線維の断裂と骨に近い深部の出血が起こりやすい。血腫が吸収されずに器質化し、骨膜由来の細胞や間葉系細胞が骨形成に向かうと、筋内に骨組織が形成される(外傷性骨化性筋炎)。臨床的には硬結と圧痛、そして膝屈曲制限が残り、単純X線では受傷後およそ3〜4週ごろから石灰化・骨化像が明らかになり、6〜8週ごろに骨性に成熟する。対応としては、受傷直後は膝屈曲位での圧迫固定・冷却・挙上で血腫を最小限に抑え、その後は疼痛の範囲内で自動運動から段階的に可動域を広げていく。強いマッサージや痛みを我慢させる他動的ストレッチは出血を増やして骨化を助長するため、患者には「痛みが出ない範囲で自分で動かす」方法を具体的に指導する。

✓ 1. 正しい
骨化性筋炎
大腿四頭筋内の血腫が器質化・骨化して生じる。硬結・圧痛と膝屈曲制限が主な所見で、大腿部前面打撲の合併症として最も代表的。
✗ 2. 誤り
関節強直
強直は関節を構成する骨・軟骨そのものが骨性ないし線維性に癒合し、可動域が失われた状態を指す。打撲後に生じるのは筋の瘢痕化・骨化による関節外の可動域制限、すなわち拘縮であり、区別して用いる。
✗ 3. 誤り
脂肪塞栓症
骨髄内の脂肪が血流に入って肺・脳の血管を閉塞する病態で、大腿骨骨幹部骨折や骨盤骨折、多発骨折が典型。呼吸困難、意識障害、点状出血を呈する。骨折を伴わない打撲では通常起こらない。
✗ 4. 誤り
フォルクマン (Volkmann)拘縮
上腕骨顆上骨折などに伴う前腕のコンパートメント症候群の後遺症で、前腕屈筋群の阻血性拘縮を指す。部位も機序も異なる。ただし大腿でも著明な腫脹があればコンパートメント症候群を念頭に置き、疼痛・蒼白・脈拍消失・感覚異常・運動麻痺を確認して速やかに医師へつなぐ。
ポイント
  • 大腿部前面打撲は大腿四頭筋(中間広筋)の深部血腫を作り、骨化性筋炎に至りやすい。
  • 所見は硬結・圧痛と膝屈曲制限。X線での石灰化・骨化像は受傷後およそ3〜4週ごろから現れ、6〜8週で骨性に成熟する。
  • 初期は膝屈曲位での圧迫固定・冷却・挙上で血腫を最小限にする。
  • 回復期は疼痛の範囲内で自動運動から可動域を広げる。強い揉みほぐしや無理な他動伸張は骨化を助長する。
  • 脂肪塞栓症は骨折、フォルクマン拘縮は前腕の阻血と、部位・機序でひも付けて覚える。
比較表
病態起こる外傷本質主な所見
骨化性筋炎大腿部前面打撲、肘関節脱臼筋内血腫の器質化・骨化硬結・圧痛、膝屈曲制限、X線で3〜4週ごろから石灰化・骨化像(6〜8週で骨性に成熟)
関節強直関節の破壊・化膿・長期固定関節構成体の骨性・線維性癒合可動域の消失
脂肪塞栓症大腿骨骨幹部・骨盤骨折、多発骨折骨髄脂肪の血管内流入呼吸困難、意識障害、点状出血
フォルクマン拘縮上腕骨顆上骨折前腕コンパートメント症候群による阻血手指屈曲拘縮、感覚障害
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