学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §21 肘内障の診察および整復 / QJ34A022

理由で解く 柔道整復師

QJ34A022 必修問題

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問22
問題
肘内障で正しいのはどれか。
選択肢
1 肘引っ張り症候群とも呼ばれる。
2 前腕に回外力が加わり発生する。
3 輪状靱帯は橈骨頭の遠位に移動する。
4 全身弛緩性が低いことは危険因子の1つである。
解答
正解1(肘引っ張り症候群とも呼ばれる。)
解説

正しいのは1です。肘内障は手を引っ張られた瞬間に起こることから、「肘引っ張り症候群(pulled elbow)」とも呼ばれます。

好発年齢は2〜4歳。この時期の橈骨頭は頭部と頸部の太さの差が小さく、輪状靱帯も緩いため、前腕回内位のまま長軸方向に牽引されると、輪状靱帯が橈骨頭を乗り越えて近位へずれ、腕橈関節の間に挟まり込みます。骨が大きく離れる脱臼ではなく亜脱臼で、外傷らしい腫脹・発赤・変形は見られません。子どもは前腕回内・肘軽度屈曲位で上肢を下げたまま使おうとせず、動かそうとすると泣きます(仮性麻痺)。整復は回外法または回内法で行い、クリックを触知したあと、万歳をさせる・高い位置のおもちゃを取らせるなどして自分から挙上できることを確かめます。転倒や打撲の既往があり、明らかな腫脹・変形・限局性圧痛がある場合は骨折を疑い、整復を試みずに医師の診察につなぎます。

✓ 1. 正しい
肘引っ張り症候群とも呼ばれる。
受傷機転そのものが名称になっています。手を引かれる、腕をつかんで持ち上げるといった牽引で発生するため、pulled elbow(肘引っ張り症候群)、nursemaid's elbow などと呼ばれます。保護者への再発予防指導(手首ではなく体幹を支える)まで含めて覚えると実際に役立ちます。
✗ 2. 誤り
前腕に回外力が加わり発生する。
受傷肢位は回内位です。回内位では輪状靱帯の前方部が緩みやすく、そこへ牽引が加わって橈骨頭から外れます。回外は発生側ではなく、整復操作(回外法)で用いる側の動きです。逆に覚えないよう注意します。
✗ 3. 誤り
輪状靱帯は橈骨頭の遠位に移動する。
移動する向きが逆です。牽引で橈骨が遠位へ引かれる結果、相対的に輪状靱帯は橈骨頭を越えて近位へずれ、腕橈関節内に嵌入します。「骨が下がり、靱帯が上に乗り上げる」とイメージすると向きを間違えません。
✗ 4. 誤り
全身弛緩性が低いことは危険因子の1つである。
高低が逆です。全身関節弛緩性が高い(靱帯が緩い)ほど輪状靱帯が橈骨頭から外れやすく、危険因子になります。弛緩性が高い児は反対側や再発も起こしやすいため、保護者に手の引き方を具体的に伝えておきます。
ポイント
  • 2〜4歳に好発。受傷機転は「前腕回内位+長軸方向の牽引」。
  • 輪状靱帯が橈骨頭を越えて近位へずれ、腕橈関節に嵌入する亜脱臼。
  • 腫脹・発赤・変形はない。前腕回内・肘軽度屈曲位で下垂し使わない(仮性麻痺)。
  • 危険因子は関節弛緩性が高いこと、および既往(再発しやすい)。
  • 整復後は自動挙上の確認まで行う。腫脹・変形・限局性圧痛や明らかな外傷歴があれば骨折を疑い医師へ。再発予防として手首を引かず体幹を支えるよう保護者に説明する。
比較表
項目肘内障肘関節後方脱臼
好発年齢2〜4歳の幼児学童期以降〜成人
受傷機転前腕回内位での牽引手をついた転倒(過伸展)
腫脹・変形ほとんどない著明、肘頭が後方に突出
肢位前腕回内・肘軽度屈曲で下垂肘軽度屈曲位で弾発性固定
ヒューター三角正常乱れる
整復後の固定原則不要(挙上確認で終了)屈曲90度前後で固定が必要
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