学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §22 示指PIP関節背側脱臼の固定 / QJ29A019

理由で解く 柔道整復師

QJ29A019 必修問題

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問19
問題
示指PIP 関節背側脱臼で正中索損傷を合併している場合の固定はど、れか。
図
選択肢
1 1
2 2
3 3
4 4
解答
正解2
解説

正中索が損傷されるとボタン穴変形へ進むため、PIP関節を完全伸展位で固定し、DIP関節は自動運動を許すのが原則。図では2がこれにあたる。

指の伸展機構では、総指伸筋腱がPIP関節の背側で正中索(中央索)となって中節骨底に付き、その両側を側索が通ってDIP関節の伸展を担う。正中索が切れるとPIP関節を伸ばす力が失われるだけでなく、PIP関節の回転軸より背側にあった側索が掌側へずり落ちる。すると側索は「PIPを屈曲させ、DIPを過伸展させる」向きに働くようになり、放置すれば数週でボタン穴(ボタンホール)変形が完成する。したがって固定の目的は二つで、①正中索の断端を近づけたまま治癒させること、②側索を背側に保って掌側転位を防ぐことである。この両方を満たす肢位がPIP関節0度(完全伸展位)であり、DIP関節は固定せずに自動屈伸を促して側索と斜支靱帯の短縮拘縮を防ぐ。MP関節も自由でよい。固定期間はおよそ4〜6週(教科書的には約6週間)で、その後も夜間だけ伸展位装具を用いて伸展位保持を続けることがある。なおPIP背側脱臼の多くは掌側板損傷が主体で、その場合は再脱臼を防ぐためPIP軽度屈曲位で固定するが、本問のように正中索損傷を合併するなら伸展位固定を優先する、という使い分けを覚えておきたい。

✓ 2. 正しい
2
図に示された固定のうち、PIP関節を完全伸展位(0度)に保ち、DIP関節の自動運動を妨げないものがこれにあたる。正中索の断端を接触させたまま治癒させ、側索の掌側転位を防ぐという二つの条件を同時に満たす肢位なので正答となる。
✗ 1. 誤り
1
本問が求める「PIP関節は完全伸展位」「DIP関節は自動運動を残す」という二条件を満たさない固定である。PIPが屈曲位のまま固定されると正中索の断端が離開して治癒が得られず、側索も掌側へずれてボタン穴変形を助長する。
✗ 3. 誤り
3
同じく二条件を満たさない。混同しやすいのは掌側板単独損傷による背側脱臼で、その場合は再脱臼予防のためPIP軽度屈曲位(20〜30度)固定を選ぶが、正中索損傷を合併する本問ではその肢位は変形を進めてしまうので選べない。
✗ 4. 誤り
4
これも二条件のいずれかを満たさない。とくにDIPまで含めて固定すると側索と斜支靱帯が短縮し、治癒後にDIPの屈曲制限を残しやすいため避ける。
ポイント
  • 正中索は中節骨底に付きPIP伸展を担う。断裂→側索が掌側へ転位→ボタン穴変形
  • 固定はPIP関節0度(完全伸展位)、期間はおよそ4〜6週(一般に6週間)。MP・DIPは自由
  • 固定終了後も夜間装具などで伸展位保持を続けることがある
  • DIPは自動屈伸を積極的に行わせ、側索・斜支靱帯の短縮拘縮を防ぐ
  • PIP背側脱臼の典型(掌側板損傷主体)はPIP軽度屈曲位固定。合併損傷で肢位が変わる
  • 受傷直後はボタン穴変形が未完成でも、エルソンテストなどで正中索の評価を行い、疑えば伸展位で固定して整形外科へ相談する
比較表
損傷部位生じる変形固定肢位固定期間の目安
正中索(中央索)ボタン穴変形(PIP屈曲+DIP過伸展)PIP完全伸展位で固定、DIPは自動運動4〜6週(一般に6週)
掌側板(PIP背側脱臼の典型)過伸展不安定・再脱臼PIP軽度屈曲位(20〜30度)で固定2〜3週で早期運動へ移行
終止腱(DIP背側)槌指(マレットフィンガー)DIP伸展位で固定、PIPは自由6〜8週
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