学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 必修問題 ▸ §15 肩鎖関節上方脱臼の診察および整復 / QJ34A016
理由で解く 柔道整復師
肩鎖関節上方脱臼の変形は、鎖骨遠位端の挙上と肩甲骨(肩峰)の下垂が合わさって生まれます。整復で戻すべきは下がった肩峰の側なので、助手は患側上肢を後上方へ牽引し、下垂した肩峰を鎖骨遠位端に近づけます。
上方脱臼ではまず肩鎖靱帯が損傷し、完全脱臼(第3度)ではさらに烏口鎖骨靱帯(円錐靱帯・菱形靱帯)も断裂して転位が大きくなります(亜脱臼=第2度では肩鎖靱帯が断裂しても烏口鎖骨靱帯は断裂しません)。支持を失うと、鎖骨遠位端は僧帽筋上部線維(鎖骨外側1/3に付着)に引かれて挙上位となり、肩甲骨は上肢の重みで下方・前方・内方へ落ち込みます。外見上の階段状変形やピアノキー症状は、この「鎖骨遠位端の挙上」と「肩峰の下垂」が重なった相対的な突出として現れます。整復は、助手が患側上肢を後上方に牽引して肩甲骨を挙上・後方回旋させ、同時に術者が鎖骨遠位端を上方から下方へ圧迫することで、両骨端を向かい合わせる操作になります。整復自体は容易ですが保持が難しいため、整復位が得られたらただちに絆創膏固定などで肩峰の再下垂と鎖骨遠位端の再挙上を抑え、上肢の重みが関節にかからないよう提肘を併用します。
| 牽引方向 | 上下の成分 | 前後の成分 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 後上方 | 肩峰を挙上(適切) | 肩甲骨を後方回旋(適切) | 整復位が得られる |
| 前上方 | 肩峰を挙上(適切) | 肩甲骨が前外方へ滑る | 前後がずれて適合しない |
| 後下方 | 肩峰の下垂を助長 | 肩甲骨を後方回旋(適切) | 転位が増大 |
| 前下方 | 肩峰の下垂を助長 | 肩甲骨が前外方へ滑る | 上下・前後とも逆 |
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