学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §9 上腕骨外科頸外転型骨折の診察および整復 / QJ34A007

理由で解く 柔道整復師

QJ34A007 必修問題

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問7
問題
上腕骨外科頸外転型骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 肩峰下に骨頭を触知できない。
2 肩関節棘下脱臼と類似の外観を呈す。
3 動脈損傷の有無を鎖骨下動脈の拍動で評価する。
4 腋窩神経損傷の有無を三角筋部の感覚異常で評価する。
解答
正解4(腋窩神経損傷の有無を三角筋部の感覚異常で評価する。)
解説

腋窩神経は上腕骨外科頸の後面を回るため、外科頸骨折では損傷されやすく、三角筋部の感覚(肩外側部)と三角筋の収縮で評価します。正しいのは4です。

上腕骨外科頸外転型骨折では、近位骨片が内転位をとり遠位骨片が外転するため骨折部は内方凸となり、外観は肩関節前方(烏口下)脱臼に似てきます。しかし骨頭は関節窩に残っているので、脱臼のように肩峰下が空虚になることはなく、肩峰下で骨頭を触れることができます。この点が骨折と脱臼を分ける最も確実な所見です。骨軋轢音や異常可動性も骨折を示す所見ですが、外科頸骨折には骨片が噛み合った嵌入型が少なくなく、嵌入型ではこれらを認めないことが多いため、これらの有無だけで骨折を否定してはいけません。合併症では腋窩神経損傷と腋窩動脈損傷が問題になり、神経は三角筋の収縮と肩外側部(上外側上腕皮神経領域)の感覚で、血行は末梢の橈骨動脈拍動・皮膚色・冷感で確認します。いずれも異常があれば速やかに医師へ紹介し、画像評価と処置の指示を受けます。

✓ 4. 正しい
腋窩神経損傷の有無を三角筋部の感覚異常で評価する。
腋窩神経は外科頸の後面を回って三角筋と肩外側部の皮膚を支配します。外科頸骨折では走行上損傷されやすいため、三角筋部の感覚と三角筋の収縮を必ず確認します。
✗ 1. 誤り
肩峰下に骨頭を触知できない。
骨折では骨頭は関節窩に留まるため、肩峰下で骨頭を触知できます。肩峰下が空虚になり骨頭を触れないのは肩関節脱臼の所見です。
✗ 2. 誤り
肩関節棘下脱臼と類似の外観を呈す。
外転型が似るのは前方脱臼、なかでも烏口下脱臼の外観です。棘下脱臼は後方脱臼でまれであり、比較の対象になりません。
✗ 3. 誤り
動脈損傷の有無を鎖骨下動脈の拍動で評価する。
損傷が問題になるのは骨折部近くを走る腋窩動脈で、その血行は末梢の橈骨動脈拍動・皮膚色・冷感で評価します。骨折部より中枢の鎖骨下動脈では末梢の血行障害を判断できません。
ポイント
  • 外科頸外転型骨折:近位骨片は内転、遠位骨片は外転し、骨折部は内方凸となる。
  • 外観は肩関節烏口下脱臼に似るが、骨頭は関節窩にあるため肩峰下で触知できる。
  • 脱臼では肩峰が突出し三角筋部が平坦化、肩峰下は空虚で弾発性固定がある。
  • 嵌入骨折では異常可動性・骨軋轢音を欠くため、肩峰下の骨頭触知と弾発性固定の有無で鑑別する。
  • 腋窩神経の評価=三角筋の収縮+肩外側部の感覚。
  • 血行の評価=末梢の橈骨動脈拍動・皮膚色・冷感。異常時は速やかに医師へ紹介する。
比較表
所見上腕骨外科頸外転型骨折肩関節烏口下脱臼
肩峰下の骨頭触知できる触知できない(空虚)
肩の輪郭おおむね保たれる肩峰突出・三角筋部が平坦
弾発性固定ないある
骨軋轢音・異常可動性あり(ただし嵌入型では認めないことが多い)なし
注意する神経腋窩神経腋窩神経
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