学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ33P121

理由で解く 柔道整復師

QJ33P121 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問121
問題
75歳の女性。BMIは35である。8年前から両膝の痛みを自覚していたが、痛みが増悪してきたため来所した。両膝に発赤、腫脹、熱感はないが、荷重で痛みが増悪し、屈曲・伸展の制限がみられる。後療法で誤っているのはどれか。
選択肢
1 揉捏法
2 温熱療法
3 深屈曲運動
4 大腿四頭筋訓練
解答
正解3(深屈曲運動)
解説

発赤・腫脹・熱感がなく、荷重で痛む慢性の両膝痛。75歳・BMI 35という背景も合わせて変形性膝関節症です。後療法で避けるべきなのは、関節への接触圧を跳ね上げる深屈曲運動です。

変形性膝関節症では関節軟骨がすり減り、荷重時に軟骨下骨や滑膜・関節包へ加わる機械的ストレスが痛みを生みます。膝を深く曲げるほど大腿脛骨関節・膝蓋大腿関節の接触圧は大きくなり、体重が重いほどその影響は増幅されます。したがって可動域訓練は痛みの出ない範囲にとどめ、正座やしゃがみ込みのような深屈曲は避けます。後療法の中心は、大腿四頭筋の強化による関節の安定化、温熱や手技による疼痛と筋緊張の軽減、そして減量・洋式生活への転換・杖の使用といった関節への負担を減らす生活指導です。

✓ 3. これが答え(誤り=行わない)
深屈曲運動
深く曲げるほど関節の接触圧が高まり、BMI 35という体重条件ではさらに負担が増して症状を悪化させます。可動域は痛みのない範囲で少しずつ広げ、正座やしゃがみ込みは避けて、椅子・洋式トイレ・ベッドなど膝を深く曲げずにすむ生活様式を勧めます。よってこれが誤りで、設問の答えになります。
✗ 1. 適切な後療法(答えではない)
揉捏法
大腿四頭筋やハムストリングス、下腿三頭筋の筋緊張をゆるめて血流を改善し、痛みと動きにくさを軽減します。急性の炎症所見がない本例では適応があり、誤りではありません。
✗ 2. 適切な後療法(答えではない)
温熱療法
発赤・腫脹・熱感がなく慢性の経過であることから、温めて血流を高め組織の伸張性を上げる温熱療法が適します。運動療法の前処置としても有用です。炎症所見が出たときは寒冷に切り替える、という使い分けもあわせて覚えましょう。
✗ 4. 適切な後療法(答えではない)
大腿四頭筋訓練
大腿四頭筋は膝の安定と衝撃吸収を担い、その強化は疼痛軽減と機能改善に有効な基本の運動です。まずは膝を深く曲げずにすむパテラセッティング(等尺性収縮)や下肢伸展挙上(SLR)から始めます。
ポイント
  • 発赤・腫脹・熱感なし+荷重時痛+慢性経過+高齢・肥満 → 変形性膝関節症
  • 深屈曲は関節接触圧を上げる。正座・しゃがみ込みは避ける
  • 可動域訓練は「痛みの出ない範囲で少しずつ」が原則
  • 後療法の柱は大腿四頭筋訓練(パテラセッティング、SLR)
  • 炎症所見がない慢性期は温熱。減量・洋式生活・杖の使用まで指導に含める
比較表
行うこと避けること
大腿四頭筋訓練(パテラセッティング、SLR)正座・しゃがみ込みなどの深屈曲
温熱療法(炎症所見のない慢性期)痛みを我慢して続ける過負荷の運動
揉捏法など手技による筋緊張の緩和長時間の立位・重量物の運搬
減量、洋式生活への転換、杖の使用階段の昇降の繰り返し
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