学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ33P119

理由で解く 柔道整復師

QJ33P119 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問119
問題
19歳の女性。バレーボールの試合中、ジャンプの着地で膝が「がくっ」となって膝関節の疼痛を自覚した。医科へ搬送され、関節穿刺にて血性の関節液が採取された。考えられるのはどれか。
選択肢
1 半月板辺縁部損傷
2 膝蓋骨骨折
3 外側側副靱帯損傷
4 膝蓋腱断裂
解答
正解1(半月板辺縁部損傷)
解説

関節穿刺で血性の関節液(関節血症)が引けたということは、関節内で血行のある組織が破れたという意味です。膝の関節血症は前十字靱帯損傷・半月板辺縁部損傷・関節内骨折で起こりますが、「ジャンプの着地で膝が『がくっ』となった」という非接触の膝崩れの機転に合うのは半月板辺縁部損傷です。

半月板は外周約3分の1(辺縁部=red zone)にだけ関節包側から血管が入り込み、内側3分の2(white zone)は無血管です。そのため辺縁部が断裂すると関節内へ出血して血性関節液となり、同時にここは治癒能があるので縫合の適応にもなります。ジャンプの着地で膝が「がくっ」となるのは膝崩れ(giving way)で、断裂した半月板が関節面に挟み込まれて起こります。つまり関節血症の有無だけでは原因を1つに絞れず、受傷機転(接触か非接触か、直達外力か捻転か)と局所所見(陥凹の触知、自動伸展の可否)を重ねて鑑別します。膝の関節血症をみたら、まず前十字靱帯損傷・半月板辺縁部損傷・関節内骨折の3つを想起し、医療機関での画像評価につなげます。

✓ 1. 正しい
半月板辺縁部損傷
辺縁部は血行があるため、断裂すれば関節内に出血し血性関節液となります。着地時の荷重と回旋で半月板が大腿骨顆と脛骨の間に挟まれて損傷し、その嵌頓が「がくっ」という膝崩れを生みます。受傷機転・症状・穿刺所見のすべてが矛盾なくつながります。
✗ 2. 誤り
膝蓋骨骨折
関節内骨折なので血性関節液(脂肪滴を混じる)は起こりえますが、発生機転は膝を打ちつける直達外力か大腿四頭筋の急激な収縮です。膝蓋骨部の圧痛・陥凹の触知や膝の自動伸展不能が前面に出るはずで、「着地で膝が崩れた」という訴えとは合いません。鑑別の決め手は出血の有無ではなく、この機転と局所所見です。
✗ 3. 誤り
外側側副靱帯損傷
外側側副靱帯は関節包の外を走る関節外靱帯なので、断裂しても出血は関節外に広がり、関節腔内に血液が貯まりにくいのが特徴です。発生機転も膝への内反強制で、着地時の膝崩れとは異なります。
✗ 4. 誤り
膝蓋腱断裂
膝蓋腱も関節外の構造です。断裂すると膝の自動伸展不能(下肢伸展挙上ができない)、膝蓋骨の高位、腱部の陥凹が主所見となり、関節穿刺で血性関節液が得られる病態ではありません。
ポイント
  • 関節血症=血行のある組織の損傷。膝では前十字靱帯損傷・半月板辺縁部損傷・関節内骨折が三大原因。
  • 関節血症の有無だけでは鑑別できない → 受傷機転と局所所見で絞り込む。
  • 非接触の膝崩れ(giving way)で受傷 → 半月板の嵌頓や前十字靱帯損傷。直達外力・陥凹触知・自動伸展不能 → 膝蓋骨骨折。
  • 半月板は外周1/3のみ血行あり(red zone)→ 出血する・縫合できる。
  • 内側2/3(white zone)の損傷では関節血症は目立たない。
  • 関節外の靱帯・腱(外側側副靱帯、膝蓋腱)の損傷では関節血症になりにくい。
比較表
損傷関節血症受傷機転・鑑別点
半月板辺縁部損傷起こる着地・捻転(非接触)。外周1/3は有血管。膝崩れ・嵌頓を伴う
半月板中央部損傷起こりにくい無血管領域(white zone)
前十字靱帯損傷起こる非接触の急停止・方向転換。関節内靱帯で関節血症の代表
膝蓋骨骨折(関節内骨折)起こる(脂肪滴を混じる)直達外力または大腿四頭筋の急激な収縮。陥凹触知・自動伸展不能
外側側副靱帯損傷起こりにくい内反強制。関節外靱帯で出血は関節外へ
膝蓋腱断裂起こりにくい関節外の腱。伸展不能・膝蓋骨高位
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