学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ33P117

理由で解く 柔道整復師

QJ33P117 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問117
問題
20歳の男性。短距離走で転倒し、足関節外側に疼痛を自覚したためすぐに来所した。他動的に足関節底屈あるいは背屈で足部を内がえしさせると疼痛が増悪する。さらに足部の前方引き出しで不安感が生じる。考えられる損傷靱帯はどれか。2つ選べ。
選択肢
1 脛腓靱帯
2 踵腓靱帯
3 二分靱帯
4 前距腓靱帯
解答
正解2(踵腓靱帯)、4(前距腓靱帯)
解説

「底屈でも背屈でも、内がえしで痛む」は、緊張する肢位の違う2本の靱帯がともに傷んでいることを意味します。加えて前方引き出しでの不安感が前距腓靱帯の損傷を裏づけます。

足関節外側靱帯は前距腓靱帯・踵腓靱帯・後距腓靱帯の3本からなり、それぞれ緊張する肢位が異なります。前距腓靱帯は底屈位での内がえしで最も緊張し、距骨が前方へ滑り出るのを止める役割も担うため、損傷すると前方引き出しテストで不安定性や不安感が出ます。踵腓靱帯は外果から踵骨外側へ下降して距腿関節と距骨下関節をまたぎ、背屈〜中間位での内がえしで緊張します。したがって本例のように底屈でも背屈でも内がえしで痛む場合は、この2本がともに損傷していると考えます。急性期はRICEと固定で腫脹と疼痛を抑え、その後は腓骨筋群の強化とバランス訓練で外側不安定性の残存を防ぎます。

✓ 2. 正しい
踵腓靱帯
外果から踵骨外側へ下降し、背屈〜中間位での内がえしで緊張します。背屈位で内がえしさせると痛むという所見が、この靱帯の損傷を示します。距骨下関節もまたぐため、損傷が残ると距骨傾斜(内反不安定性)が残りやすくなります。
✓ 4. 正しい
前距腓靱帯
外果の前縁から距骨頸へ走り、底屈位での内がえしで最も緊張します。底屈位で内がえしさせると痛むこと、そして前方引き出しで不安感が出ることの両方がこの靱帯を指しています。足関節外側靱帯損傷で最も高頻度に損傷される靱帯です。
✗ 1. 誤り
脛腓靱帯
遠位で脛骨と腓骨をつなぐ靱帯で、足関節の背屈+外旋や外がえしの強制で損傷します(いわゆる高位捻挫)。内がえしでは緊張せず、距腿関節の前方引き出しでの不安感とも結びつきません。
✗ 3. 誤り
二分靱帯
踵骨前方突起から立方骨・舟状骨へ張る足根部の靱帯で、圧痛は足関節ではなく足根洞のやや前方に出ます。距腿関節の前方引き出しで評価される構造ではないため、本例の所見の説明にはなりません。
ポイント
  • 前距腓靱帯は「底屈+内がえし」で緊張。前方引き出しテストで評価する
  • 踵腓靱帯は「背屈〜中間位+内がえし」で緊張。内反ストレス(距骨傾斜)で評価する
  • 底屈でも背屈でも痛む=この2本がともに損傷している、と読む
  • 脛腓靱帯は背屈+外旋・外がえしの機転。内がえし捻挫では損傷しにくい
  • 後療法は腓骨筋群の強化とバランス訓練。外側不安定性の残存を防ぐ
比較表
靱帯緊張する肢位対応する検査
前距腓靱帯底屈+内がえし前方引き出しテスト
踵腓靱帯背屈〜中間位+内がえし内反ストレステスト(距骨傾斜)
後距腓靱帯強い背屈単独損傷はまれ
遠位脛腓靱帯背屈+外旋、外がえし外旋ストレス、スクイーズテスト
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