学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ33P116

理由で解く 柔道整復師

QJ33P116 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問116
問題
17歳の男子。2年前から空手を始めた。1か月前に右足で蹴りの動作を行った際、右股関節部に軽度の痛みを自覚した。2週前から痛みが強くなり、引っ掛かりを感じたため来所した。股関節を屈曲外転外旋位から伸展する際にクリックを触知する。原因となる筋はどれか。
選択肢
1 大殿筋
2 腸腰筋
3 大腿直筋
4 大腿筋膜張筋
解答
正解2(腸腰筋)
解説

股関節を屈曲・外転・外旋位から伸展させるときに鼠径部でクリックが触れるのは内側型の弾発股で、原因筋は腸腰筋です。

腸腰筋は骨盤の前面を通り、腸恥隆起の上を越えて小転子に付きます。股関節が屈曲・外転・外旋位から伸展・内転・内旋へ戻る過程で、腸腰筋腱が腸恥隆起や大腿骨頭の前面を外側から内側へ滑って乗り越えます。この瞬間に引っ掛かりとクリック(時に音)が生じるのが内側型弾発股です。空手の蹴りは股関節を大きく屈曲・外転・外旋させてから振り戻す動作の連続なので、この滑走が反復されて腱と滑液包に炎症が起こります。対応は腸腰筋のストレッチ、股関節周囲筋(とくに殿筋群)とのバランス改善、蹴りの反復量とフォームの調整で、痛みが強い時期は消炎と局所安静を優先します。

✓ 2. 正しい
腸腰筋
腸腰筋腱が腸恥隆起や大腿骨頭前面を乗り越えることで生じる内側型弾発股です。「屈曲・外転・外旋位からの伸展」という誘発肢位が、腸腰筋腱の走行と滑る向きにそのまま対応します。クリックは鼠径部(股関節の前面)で触知します。
✗ 1. 誤り
大殿筋
大殿筋の腱膜は腸脛靱帯とともに大転子の外側を通るため、関与するとすれば外側型の弾発股です。その場合クリックは大転子の外側で触れ、内転位での屈伸で誘発されるので、鼠径部で誘発される本例とは部位が異なります。
✗ 3. 誤り
大腿直筋
股関節屈曲と膝伸展に働く二関節筋ですが、その腱が骨性の隆起を乗り越えて弾発を起こす走行にはなっていません。股関節前面の痛みの原因にはなり得ても、クリックを伴う弾発現象の典型的な原因筋ではありません。
✗ 4. 誤り
大腿筋膜張筋
腸脛靱帯を介して大転子の外側を通り、屈伸に伴って腸脛靱帯が大転子を乗り越えることで外側型弾発股を起こします。音のする場所が大転子外側であり、鼠径部でクリックを触れる本例とは部位が合いません。
ポイント
  • 弾発股は「どこで鳴るか」で分類する:鼠径部=内側型、大転子外側=外側型
  • 内側型は腸腰筋腱が腸恥隆起・大腿骨頭前面を乗り越えることで生じる
  • 内側型の誘発肢位は「屈曲・外転・外旋位から伸展(+内転・内旋)」
  • 外側型は腸脛靱帯(大腿筋膜張筋・大殿筋腱膜)が大転子を乗り越えることで生じる
  • 対応は原因筋のストレッチ+周囲筋のバランス改善+動作の反復量とフォームの調整
比較表
項目内側型弾発股外側型弾発股
原因腸腰筋腱が腸恥隆起・大腿骨頭前面を乗り越える腸脛靱帯・大殿筋腱膜が大転子を乗り越える
クリックの場所鼠径部(股関節前面)大転子の外側
誘発肢位屈曲・外転・外旋位から伸展内転位での屈伸
主な対応腸腰筋のストレッチ大腿筋膜張筋・腸脛靱帯のストレッチ
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