学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §23 各論(軟部組織損傷) 下肢 / QJ33P099

理由で解く 柔道整復師

QJ33P099 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問99
問題
下腿の前方区画症候群で正しいのはどれか。
選択肢
1 長腓骨筋が障害される。
2 足趾の底屈で疼痛が増強する。
3 足背外側の感覚が障害される。
4 RICE 処置のうち圧迫が有効である。
解答
正解2(足趾の底屈で疼痛が増強する。)
解説

下腿前方区画には足関節・足趾の伸筋群と深腓骨神経が入る。障害された伸筋を他動的に引き伸ばす操作、すなわち足趾の底屈で疼痛が増強する。

下腿前方区画は脛骨・腓骨・骨間膜・前下腿筋間中隔と丈夫な下腿筋膜に囲まれ、伸展性に最も乏しい区画である。ここに前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋・第三腓骨筋と、深腓骨神経・前脛骨動脈が収まる。運動負荷や打撲で内出血や浮腫が起こると内圧が上昇し、まず損傷の程度に不釣り合いな持続する強い痛みが現れる。次いで、障害筋を他動的に伸張したときの痛みが早期の重要なサインとなり、伸筋群では足趾・足関節の底屈がこれにあたる。感覚障害は深腓骨神経の支配する第1・2趾間背側(母趾と第2趾の間)に出る。処置では患肢を心臓と同じ高さに保ち、包帯・ギプス・靴などの圧迫を取り除いて速やかに医療機関へ搬送する。

✓ 2. 正しい
足趾の底屈で疼痛が増強する。
足趾の底屈は長趾伸筋・長母趾伸筋を他動的に引き伸ばす動きで、内圧の高まった区画内の筋がさらに緊張して痛みが強まる。他動伸張時痛は区画症候群を早期に捉えるための重要な所見。
✗ 1. 誤り
長腓骨筋が障害される。
長腓骨筋は短腓骨筋とともに外側区画に属し、浅腓骨神経の支配を受ける。前方区画に含まれるのは前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋・第三腓骨筋。
✗ 3. 誤り
足背外側の感覚が障害される。
足背外側は浅腓骨神経や腓腹神経の支配領域。前方区画を通るのは深腓骨神経で、その皮枝が担うのは第1・2趾間背側の狭い範囲である。
✗ 4. 誤り
RICE 処置のうち圧迫が有効である。
圧迫は区画内圧をさらに高めて循環障害を悪化させるため避ける。患肢は心臓の高さに保ち(高く挙げると灌流圧が下がる)、締め付けている包帯や副子をゆるめて速やかに医療機関へつなぐ。
ポイント
  • 前方区画の内容:前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋・第三腓骨筋+深腓骨神経・前脛骨動脈。
  • 長腓骨筋・短腓骨筋は外側区画(浅腓骨神経)。区画ごとに筋と神経をセットで覚える。
  • 早期サイン:損傷程度に不釣り合いな持続痛と、他動伸張時痛(前方区画では足趾・足関節の底屈)。
  • 感覚障害は深腓骨神経支配の第1・2趾間背側に出る。足背外側ではない。
  • 対応:圧迫を除き、患肢は心臓の高さに保って速やかに医療機関へ。冷却も過度の圧迫を伴わない方法で行う。
比較表
区画主な筋神経他動伸張で痛む動き
前方区画前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋深腓骨神経足趾・足関節の底屈
外側区画長腓骨筋・短腓骨筋浅腓骨神経足部の内反
浅後方区画下腿三頭筋脛骨神経(皮枝は腓腹神経)足関節の背屈
深後方区画後脛骨筋・長趾屈筋・長母趾屈筋脛骨神経足趾の伸展・足部外反
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