学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §2 総論 運動器損傷の診察 / QJ33P096

理由で解く 柔道整復師

QJ33P096 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問96
問題
股関節屈曲位拘縮で陽性となるのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 エリーテスト
2 ヒップテスト
3 トーマステスト
4 パトリックテスト
解答
正解1(エリーテスト)、3(トーマステスト)
解説

股関節屈曲位拘縮を検出する代表がトーマステスト、その原因のひとつである大腿直筋の短縮を捉えるのがエリーテストです。この2つが陽性となります。

股関節の屈曲拘縮は、立位や背臥位で腰椎を過度に前弯させることで代償されるため、そのままでは見えにくいという特徴があります。トーマステストはこの代償を消すための検査です。背臥位で健側の股関節を胸に引き寄せて最大屈曲させると、骨盤が後傾して腰椎の前弯が消えます。このとき患側に屈曲拘縮があれば、大腿が床から浮き上がってきます。隠れていた拘縮を、代償を封じることで表に出すという発想です。エリーテストは腹臥位で行い、膝を他動的に屈曲させていくと、大腿直筋が短縮している側では殿部が持ち上がってきます(尻上がり現象)。大腿直筋は股関節をまたいで骨盤の下前腸骨棘から起こる二関節筋で、膝を曲げると股関節を屈曲させる方向に引っぱるため、短縮していれば骨盤ごと持ち上がるわけです。大腿直筋の短縮は股関節屈曲拘縮を生む代表的な原因なので、この検査も陽性になります。一方、パトリックテストは股関節や仙腸関節の疼痛を誘発する検査であり、屈曲拘縮の有無を判定するための検査ではありません。ヒップテストも、股関節屈曲位拘縮を判定する検査としては位置づけられていません。

✓ 1. 正しい
エリーテスト
腹臥位で膝を他動的に屈曲すると、大腿直筋の短縮側では同側の殿部が持ち上がります(尻上がり現象)。大腿直筋は骨盤の下前腸骨棘から脛骨粗面へ至る二関節筋なので、膝屈曲によって股関節が屈曲方向へ引かれます。大腿直筋の短縮は股関節屈曲拘縮の主要な原因のひとつであり、本問で陽性となる検査です。
✓ 3. 正しい
トーマステスト
背臥位で健側の股関節を最大屈曲させ、腰椎前弯による代償を消したうえで患側大腿が床から浮くかを見る検査です。股関節屈曲拘縮を直接評価する代表的な検査で、浮き上がった角度がそのまま拘縮の程度の目安になります。腸腰筋の短縮が主な原因です。
✗ 2. 誤り
ヒップテスト
ヒップテストは、股関節屈曲位拘縮を判定する検査としては位置づけられていません。屈曲拘縮を直接評価したいときは、腰椎前弯による代償を消せるトーマステストを、その原因となる大腿直筋の短縮を見たいときはエリーテストを用います。本問で陽性となる検査には含まれません。
✗ 4. 誤り
パトリックテスト
背臥位で患側の足部を対側の膝の上に乗せ、股関節を屈曲・外転・外旋させた「4の字」の肢位から膝を下方へ押す検査です。鼠径部に痛みが出れば股関節疾患、殿部・仙腸関節部に痛みが出れば仙腸関節障害を示唆します。疼痛の誘発と外転外旋の可動性を見る検査で、屈曲拘縮の判定には用いません。
ポイント
  • 股関節屈曲拘縮は腰椎前弯で代償されて隠れる。トーマステストは代償を消して拘縮を表に出す検査。
  • トーマステスト:背臥位+健側股関節を最大屈曲 → 患側大腿が浮けば陽性。主因は腸腰筋の短縮。
  • エリーテスト:腹臥位+膝を他動屈曲 → 殿部が持ち上がれば陽性(尻上がり現象)。主因は大腿直筋の短縮。
  • 大腿直筋は下前腸骨棘から起こる二関節筋。だから膝の肢位が股関節の動きに影響する。
  • パトリックテストは股関節・仙腸関節の疼痛誘発テスト。屈曲拘縮の判定検査ではない。
  • ヒップテストは屈曲拘縮を判定する検査としては位置づけられていない。屈曲拘縮を見るならトーマステスト。
比較表
屈曲拘縮の評価に関係する主な検査肢位・操作陽性所見何を見るか
トーマステスト背臥位で健側股関節を最大屈曲患側大腿が床から浮く股関節屈曲拘縮(腸腰筋短縮)
エリーテスト腹臥位で膝を他動屈曲殿部が持ち上がる(尻上がり)大腿直筋の短縮
パトリックテスト背臥位で4の字肢位から膝を下方へ鼠径部痛または仙腸関節部痛股関節疾患・仙腸関節障害(屈曲拘縮の判定には用いない)
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