学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §9 総論 軟部組織損傷 / QJ33P095

理由で解く 柔道整復師

QJ33P095 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問95
問題
尺骨神経の低位麻痺の症状でないのはどれか。
選択肢
1 鷲手
2 骨間筋の萎縮
3 手関節尺屈力低下
4 フローマン徴候陽性
解答
正解3(手関節尺屈力低下)
解説

尺骨神経の低位麻痺は手関節部(ギヨン管)以遠の障害で、前腕近位で分岐する尺側手根屈筋は働くため手関節尺屈力は保たれる。答えは3である。

尺骨神経は肘部を通過した直後に尺側手根屈筋と深指屈筋(環指・小指)へ枝を出し、その後に手関節へ向かう。したがって手関節レベルでの障害(低位麻痺)ではこれら前腕の筋は温存され、障害されるのは手内在筋(骨間筋・第3/第4虫様筋・母指内転筋・小指球筋)に限られる。深指屈筋が生きている分だけ環指・小指のDIP関節が強く屈曲し、鷲手変形はむしろ高位麻痺より目立つ(尺骨神経の逆説)。障害高位を見極めるには、手関節尺屈力と環指・小指DIPの屈曲力が保たれているかを確認するのが近道である。

✗ 1. 低位麻痺でみられる(答えではない)
鷲手
虫様筋・骨間筋の麻痺により環指・小指のMP関節が過伸展、PIP・DIP関節が屈曲する。深指屈筋が働く低位麻痺のほうが変形は明瞭になる。
✗ 2. 低位麻痺でみられる(答えではない)
骨間筋の萎縮
骨間筋は尺骨神経深枝の支配であり、低位麻痺で萎縮する。特に第1背側骨間筋のやせは母指と示指の間のくぼみとして観察しやすい。
✓ 3. これが答え(低位麻痺では現れない)
手関節尺屈力低下
手関節の尺屈を担う尺側手根屈筋への枝は肘部で分かれるため、手関節レベルの障害では影響を受けない。尺屈力が低下している場合は肘部(高位)の障害を疑って評価を進める。
✗ 4. 低位麻痺でみられる(答えではない)
フローマン徴候陽性
母指内転筋が麻痺するため、紙をつまませると長母指屈筋で代償して母指IP関節が屈曲する。低位麻痺でも陽性となる。
ポイント
  • 尺骨神経は肘部で尺側手根屈筋・深指屈筋(環小指)へ分枝し、その後に手関節へ向かう。
  • 低位麻痺(手関節部・ギヨン管)=手内在筋のみ麻痺。手関節尺屈力と環小指DIP屈曲は保たれる。
  • 高位麻痺(肘部)では尺屈力低下と環小指DIP屈曲力低下が加わる。
  • 深指屈筋が働く低位麻痺のほうが鷲手変形は強い(尺骨神経の逆説)。
  • フローマン徴候・骨間筋萎縮は高位・低位いずれでも出現し、高位の判別には使えない。
比較表
所見高位麻痺(肘部)低位麻痺(手関節部)
手関節尺屈力低下する保たれる
環指・小指のDIP屈曲低下する保たれる
鷲手変形軽度高度(尺骨神経の逆説)
骨間筋・母指内転筋麻痺麻痺
フローマン徴候陽性陽性
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