学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ33P080

理由で解く 柔道整復師

QJ33P080 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問80
問題
ボクサー骨折で遠位骨片の掌側転位に関与するのはどれか。
選択肢
1 虫様筋
2 背側骨間筋
3 尺側手根屈筋
4 橈側手根屈筋
解答
正解1(虫様筋)
解説

ボクサー骨折(第5中手骨頸部骨折)では、中手骨頭の掌側を通ってMP関節を屈曲させる虫様筋・掌側骨間筋の牽引で遠位骨片が掌側へ屈曲転位する。第5指に関与する筋として選択肢から選べるのは虫様筋。

ボクサー骨折は握り拳で硬いものを殴打したときに第5中手骨頸部が折れるもの。骨頭を含む遠位骨片は掌側へ屈曲し、頂点が背側に向く屈曲転位(背側凸変形)を示すため、拳を握ったときのナックル(中手骨頭の隆起)が沈んで見える。掌側へ引く力の主体は、中手骨頭より掌側を通るためMP関節を屈曲方向に働かせる虫様筋と掌側骨間筋である。ただしこれらは中手骨そのものに停止するのではなく、基節骨および指背腱膜に作用してMP関節を屈曲させ、その結果として基節骨基部を介して骨頭側の遠位骨片を掌側へ押し下げるという間接的な作用であることに注意する。第5指では第4虫様筋と第3掌側骨間筋(第5中手骨の掌側面から起こる)がこれにあたる。近位骨片は手根中手関節で支えられて動きにくいので、遠位骨片だけが掌屈する形になる。整復はMP・PIP関節を90度屈曲位にして基節骨を骨頭側へ押し上げる方法が用いられ、固定はMP関節屈曲位を保って再転位と伸展拘縮を防ぐ。設問の表記には乱れがあるが、掌側転位に働く筋を問うものとして扱う。

✓ 1. 正しい
虫様筋
深指屈筋腱から起こり、中手骨頭の掌側を通って指背腱膜に至るため、MP関節を屈曲させる向きに働く。第4虫様筋は第5指に関与するので、MP関節を屈曲させることで基節骨を介して骨頭側の遠位骨片を掌側へ引く力になる(中手骨には付着しないため、作用は基節骨を介した間接的なもの)。
✗ 2. 誤り
背側骨間筋
背側骨間筋は4つあり、いずれも第2・3・4指に停止して第5指には停止しない。さらに、第5中手骨に起始をもつ第4背側骨間筋についても、その起始部は骨折線より近位の骨幹にあたるため、遠位骨片(骨頭側)を動かす力にはならない。停止・起始のどちらから見ても第5中手骨頸部骨折の遠位骨片転位には関与しない(第5指を正中側へ引くのは第3掌側骨間筋)。
✗ 3. 誤り
尺側手根屈筋
主な停止は豆状骨で、豆中手靱帯を介して第5中手骨底に及ぶ。作用点が近位側にあるため、頸部より遠位の骨片を掌側へ引く力にはならない。
✗ 4. 誤り
橈側手根屈筋
第2中手骨底(一部は第3中手骨底)に停止する筋で、第5中手骨とは付着関係がない。手関節の掌屈・橈屈に働く。
ポイント
  • ボクサー骨折=第5中手骨頸部骨折。握り拳での殴打で生じる
  • 遠位骨片(骨頭側)は掌側へ屈曲転位し、背側凸変形とナックルの消失を示す
  • 掌側へ引くのは中手骨頭の掌側を通る虫様筋・掌側骨間筋(第5指では第4虫様筋・第3掌側骨間筋)。MP関節を屈曲させ、基節骨を介して骨頭側を掌側へ押し下げる間接作用
  • 背側骨間筋は第2〜4指に停止し第5指には停止しない。第4背側骨間筋の起始も骨折線より近位の骨幹なので、遠位骨片には作用しない
  • 整復はMP・PIP屈曲位で基節骨を押し上げ、固定はMP関節屈曲位を保つ
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