学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §3 外科的感染症 / QJ33P048

理由で解く 柔道整復師

QJ33P048 外科学概論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問48
問題
蜂巣炎で正しいのはどれか。
選択肢
1 真菌感染が多い。
2 境界は明瞭である。
3 早期に切開排膿する。
4 皮下の疎性結合織に好発する。
解答
正解4(皮下の疎性結合織に好発する。)
解説

蜂巣炎(蜂窩織炎)は皮下の疎性結合織にびまん性に広がる細菌感染です。境界は不明瞭で、膿瘍を形成する前の段階では抗菌薬と安静が治療の基本になります。

主な起因菌は黄色ブドウ球菌やA群β溶血性レンサ球菌といった細菌で、皮膚の小さな傷、足白癬による趾間のびらん、虫刺されなどが侵入門になります。舞台となる皮下の疎性結合織は線維が粗く、炎症を仕切る隔壁が乏しいため、菌の産生するヒアルロニダーゼなどの働きも相まって、膿を一か所に閉じ込められず「面」として広がります。その結果、発赤の辺縁ははっきりせず、熱感・腫脹・疼痛が広い範囲に及びます。同じ皮膚軟部組織感染でも、真皮浅層とリンパ管が舞台の丹毒は境界が鮮明に隆起する点が対照的です。

✓ 4. 正しい
皮下の疎性結合織に好発する。
疎性結合織は細胞間隙が広く隔壁が乏しいため、細菌と滲出液が水平方向へ容易に広がります。これが蜂巣炎のびまん性・境界不明瞭という特徴の解剖学的な理由です。
✗ 1. 誤り
真菌感染が多い。
蜂巣炎の起因菌は細菌、とくに黄色ブドウ球菌とA群β溶血性レンサ球菌が中心です。ただし足白癬(真菌症)による皮膚バリアの破綻が細菌の侵入門になることは多いので、下腿の蜂巣炎では趾間を観察し、白癬があれば治療することが再発予防につながります。
✗ 2. 誤り
境界は明瞭である。
蜂巣炎の発赤は辺縁がぼやけ、正常皮膚との境が判然としません。境界が明瞭で堤防状に隆起するのは丹毒の特徴です。臨床では発赤の辺縁をペンで縁取り、拡大しているか縮小しているかを経時的に比較して治療効果を判定します。
✗ 3. 誤り
早期に切開排膿する。
膿瘍を形成していない早期は排出すべき膿がなく、切開しても健常組織を傷つけて炎症を広げかねません。この時期は抗菌薬の投与に加え、患部の安静と挙上、冷却で対応します。波動を触れる、あるいは超音波で膿の貯留が確認できた段階で切開排膿に移るという順序で考えます。
ポイント
  • 蜂巣炎は皮下の疎性結合織に起こる、境界不明瞭でびまん性の細菌感染。
  • 起因菌は黄色ブドウ球菌・A群β溶血性レンサ球菌が中心。真菌ではない。
  • 膿瘍化前は抗菌薬+安静・患肢挙上・冷却。波動を触れたら切開排膿へ。
  • 境界明瞭で堤防状に隆起するのは丹毒(真皮浅層とリンパ管が舞台)。
  • 下腿では足白癬が侵入門になりやすく、その治療が再発予防になる。
比較表
蜂巣炎(蜂窩織炎)丹毒膿瘍
主な部位皮下の疎性結合織真皮浅層・リンパ管組織内の限局した腔
境界不明瞭明瞭・堤防状に隆起被膜で限局
主な起因菌黄色ブドウ球菌、A群レンサ球菌A群β溶血性レンサ球菌黄色ブドウ球菌など
波動ない(膿瘍化すれば出現)ないあり
治療抗菌薬・安静・挙上抗菌薬(ペニシリン系)切開排膿・ドレナージ
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。