学習トップ理由で解く 柔道整復師衛生学・公衆衛生学 ▸ §5 環境衛生 / QJ33P012

理由で解く 柔道整復師

QJ33P012 衛生学・公衆衛生学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問12
問題
閉鎖性水域での富栄養化をもたらすのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 塩素
2 酸素
3 窒素
4 リン
解答
正解3(窒素)、4(リン)
解説

閉鎖性水域の富栄養化をもたらすのは栄養塩である窒素とリンで、答えは3と4の2つ。

生活排水や工場排水、農地からの肥料の流出によって窒素とリンが湖沼・内湾・内海などに流れ込むと、植物プランクトンの栄養が過剰になって異常増殖が起こる。海域では赤潮、湖沼ではアオコ(水の華)として現れ、増殖した藻類が死んで微生物に分解される過程で溶存酸素が大量に消費されるため、底層が貧酸素化して魚介類が死ぬ。閉鎖性水域は外海との水の入れ替わりが乏しく栄養塩が滞留しやすいため被害が出やすく、東京湾・伊勢湾・瀬戸内海や琵琶湖などでは全窒素・全リンの環境基準や汚濁負荷の総量削減が定められている。対策の中心は生活排水対策で、下水道・浄化槽の整備、無リン洗剤の使用、事業場排水の規制などが行われている。

✓ 3. 正しい
窒素
植物プランクトンの増殖に必要な栄養塩。生活排水や肥料に由来し、全窒素として湖沼・海域の環境基準項目に定められている。海域では特に増殖を左右しやすい。
✓ 4. 正しい
リン
同じく栄養塩で、生活排水や洗剤、肥料に由来する。全リンとして環境基準項目に定められ、湖沼では増殖を左右する要因となりやすい。無リン洗剤への切り替えが対策として進められた。
✗ 1. 誤り
塩素
水道の塩素消毒や有機塩素化合物による汚染の文脈で扱われる物質で、植物プランクトンの栄養塩ではなく、富栄養化の原因にはならない。
✗ 2. 誤り
酸素
栄養塩ではない。むしろ富栄養化が進むと、増殖した藻類の分解に酸素が消費されて溶存酸素(DO)が低下し、貧酸素水塊が生じる。原因ではなく結果の側にある項目である。
ポイント
  • 富栄養化の原因物質は窒素とリン。生活排水・工場排水・肥料の流出が主な供給源。
  • 結果として海域では赤潮、湖沼ではアオコ(水の華)が発生する。
  • 藻類の分解で溶存酸素(DO)が消費され、底層が貧酸素化して魚介類が死ぬ。
  • 閉鎖性水域(湖沼・内湾・内海)は水が滞留しやすく被害が出やすいため、全窒素・全リンの環境基準や総量削減が定められている。
  • 対策は下水道・浄化槽の整備、無リン洗剤の使用、事業場排水の規制など生活排水対策が中心。
比較表
項目意味富栄養化との関係
全窒素・全リン植物プランクトンの栄養塩原因物質。閉鎖性水域で環境基準・総量削減の対象
DO(溶存酸素)水中に溶けている酸素量富栄養化が進むと低下し、貧酸素水塊が生じる(結果)
BOD/COD有機汚濁の指標(BODは河川、CODは湖沼・海域)藻類の増殖に伴い上昇する(結果)
クロロフィルa植物プランクトン量の指標富栄養化の進行度を測る目安
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。