学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §10 先天性異常 / QJ33A128

理由で解く 柔道整復師

QJ33A128 病理学概論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問128
問題
疾患と遺伝形式の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 家族性大腸ポリポーシス-常染色体優性
2 血友病-常染色体劣性
3 マルファン(Marfan)症候群-伴性劣性
4 フェニルケトン尿症 →-多因子性
解答
正解1(家族性大腸ポリポーシス-常染色体優性)
解説

家族性大腸ポリポーシス(家族性大腸腺腫症)は癌抑制遺伝子APCの変異による常染色体優性(顕性)遺伝疾患である。正しい組合せは1。

遺伝形式は家系図の見え方で当たりをつけると覚えやすい。常染色体優性(顕性)は片方の対立遺伝子の異常だけで発症するため各世代に患者が現れ、男女差がない。家族性大腸腺腫症、マルファン症候群、ハンチントン病、神経線維腫症、遺伝性球状赤血球症などが代表である。常染色体劣性(潜性)は両親がともに保因者のときに子に現れるので世代を飛ばして見え、酵素が作れない先天性代謝異常症に多い(フェニルケトン尿症、ガラクトース血症、糖原病など)。X連鎖(伴性)劣性は男児に偏って発症するのが最大の手がかりで、血友病A・B、赤緑色覚異常、デュシェンヌ型筋ジストロフィーが定番の顔ぶれ。多因子遺伝は複数の遺伝素因に環境要因が重なって発症するもので、高血圧や糖尿病、口唇裂などが該当する。なお現在は日本遺伝学会の用語改訂により、優性・劣性を顕性・潜性と呼ぶ表記も併用されている。

✓ 1. 正しい
家族性大腸ポリポーシス-常染色体優性
家族性大腸腺腫症は大腸に100個以上の腺腫が多発する疾患で、原因は第5染色体上の癌抑制遺伝子APCの生殖細胞系列変異、遺伝形式は常染色体優性(顕性)である。放置すればほぼ確実に大腸癌へ進展するため、若いうちから定期的な大腸内視鏡検査を受け、時期をみて予防的な大腸切除を検討する。親子・きょうだいにも50%の確率で受け継がれるので、血縁者にも遺伝カウンセリングと検査をすすめることに大きな意味がある。
✗ 2. 誤り
血友病-常染色体劣性
血友病A(第Ⅷ因子欠乏)もB(第Ⅸ因子欠乏)も原因遺伝子はX染色体上にあり、伴性(X連鎖)劣性遺伝である。母が保因者で男児が発症する形が典型で、女児は通常は保因者にとどまる。
✗ 3. 誤り
マルファン(Marfan)症候群-伴性劣性
マルファン症候群は常染色体優性(顕性)遺伝で、男女差はない。第15染色体のフィブリリン-1(FBN1)遺伝子の異常により結合組織の弾性線維が弱くなり、高身長・クモ状指・関節過可動性・水晶体亜脱臼・大動脈基部の拡張や解離をきたす。大動脈病変が予後を左右するため、身体所見から疑ったときは循環器の評価につなげる。
✗ 4. 誤り
フェニルケトン尿症 →-多因子性
フェニルケトン尿症は常染色体劣性(潜性)遺伝の先天性アミノ酸代謝異常症で、フェニルアラニン水酸化酵素の欠損によりフェニルアラニンが蓄積し、放置すると知的障害をきたす。新生児マススクリーニングの対象で、早期に低フェニルアラニン食を始めれば発症を防げる。多因子遺伝に当たるのは高血圧、糖尿病、口唇裂などである。
ポイント
  • 常染色体優性(顕性)=各世代に患者が出て男女差なし。家族性大腸腺腫症、マルファン症候群、ハンチントン病、神経線維腫症、遺伝性球状赤血球症。
  • 常染色体劣性(潜性)=両親が保因者。酵素欠損の先天性代謝異常症に多い。フェニルケトン尿症、ガラクトース血症。
  • 伴性(X連鎖)劣性=男児に偏って発症。血友病A・B、赤緑色覚異常、デュシェンヌ型筋ジストロフィー。
  • 多因子遺伝=複数の遺伝素因+環境要因。高血圧、糖尿病、口唇裂など。
  • 家族性大腸腺腫症の原因はAPC遺伝子。高率に癌化するため定期的な内視鏡検査と予防的手術の検討が必要。
比較表
遺伝形式家系での見え方代表疾患
常染色体優性(顕性)各世代に患者が現れる。男女差なし家族性大腸腺腫症、マルファン症候群、ハンチントン病、神経線維腫症、遺伝性球状赤血球症
常染色体劣性(潜性)両親が保因者。世代を飛ばして見える。血族婚で頻度上昇フェニルケトン尿症、ガラクトース血症、糖原病、鎌状赤血球症
伴性(X連鎖)劣性男児に偏って発症。母が保因者血友病A・B、赤緑色覚異常、デュシェンヌ型筋ジストロフィー
多因子遺伝家族集積はあるがメンデル型に従わない高血圧、糖尿病、口唇裂・口蓋裂
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