学習トップ理由で解く 柔道整復師衛生学・公衆衛生学 ▸ §1 健康の保持増進と疾病予防 / QJ24A109

理由で解く 柔道整復師

QJ24A109 衛生学・公衆衛生学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問109
問題
WHOの健康の概念で誤っているのはどれか。
選択肢
1 健全な精神は健全な肉体に宿る。
2 最高の健康水準を享受することは万人の基本的権利である。
3 人間集団が健康であることは平和と安寧を得る上で不可欠である。
4 健康は身体的にも精神的にも社会的にも調和のとれた良好な状態をいう。
解答
正解1(健全な精神は健全な肉体に宿る。)
解説

WHO憲章(1946年署名・1948年発効)前文が示す健康の概念を問う設問で、これに当てはまらないものを選ぶ。「健全な精神は健全な肉体に宿る」は古代ローマの詩人ユウェナリスの詩句で、WHOの健康概念ではない。

WHO憲章前文は健康を「単に疾病または病弱が存在しないことではなく、身体的・精神的および社会的に完全に良好な状態」と定義した。病気がないことという消極的な定義から、生活の質を含む積極的な状態へ引き上げた点がこの定義の核心である。前文はさらに、到達しうる最高水準の健康を享受することは人種・宗教・政治的信条・経済的社会的条件の差別なくすべての人の基本的権利であること、人々の健康は平和と安全を達成する基礎であることを掲げている。つまりWHOの健康観は「身体・精神・社会の3側面」「基本的権利」「平和の基礎」という3つの柱で押さえるとよい。選択肢1はこの3つの柱のどれにも触れず、肉体が健全なら精神も健全という一方向の因果を述べているにすぎない。

✓ 1. これが誤り=正答
健全な精神は健全な肉体に宿る。
古代ローマの詩人ユウェナリスの風刺詩に由来する言葉で、WHO憲章にはこの記述はない。身体面から精神面への一方向の関係を述べるだけで、社会的側面も権利性も含まないため、WHOの健康概念とは方向性が異なる。試験ではこの一文が出たらWHOの定義ではないと即断してよい。
✗ 2. WHOの概念どおり(答えではない)
最高の健康水準を享受することは万人の基本的権利である。
WHO憲章前文が明記する内容そのもの。健康を人種・宗教・政治的信条・経済的社会的条件によらない基本的人権として位置づけた部分であり、後の「すべての人に健康を」という目標の根拠になっている。
✗ 3. WHOの概念どおり(答えではない)
人間集団が健康であることは平和と安寧を得る上で不可欠である。
これも前文の記述で、人々の健康は平和と安全を達成する基礎であるとされる。第二次世界大戦直後にWHOが設立された経緯を反映した一文で、健康を国際協調の課題としてとらえる姿勢を示す。
✗ 4. WHOの概念どおり(答えではない)
健康は身体的にも精神的にも社会的にも調和のとれた良好な状態をいう。
WHO憲章前文の健康の定義そのもの。身体・精神・社会という3側面がそろって良好であることを求める点が特徴で、疾病や病弱がないだけでは健康とは呼ばないという立場を取る。
ポイント
  • WHO憲章前文の定義=身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態。「疾病または病弱が存在しないこと」だけでは健康ではない
  • 到達しうる最高水準の健康を享受することは、人種・宗教・政治的信条・経済的社会的条件によらず万人の基本的権利
  • 人々の健康は平和と安全を達成する基礎であるとする
  • 「健全な精神は健全な肉体に宿る」はユウェナリスの詩句でWHOとは無関係。試験の定番ひっかけ
  • 1998年にspiritual(霊的)・dynamic(動的)を加える改正案が示されたが採択には至らず、定義は1946年のまま
比較表
観点WHO憲章前文が述べていること述べていないこと
健康の中身身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態肉体が健全なら精神も健全という因果
位置づけ最高水準の健康の享受は万人の基本的権利個人の努力や心がけの問題
社会との関係健康は平和と安全を達成する基礎健康は個人だけで完結する
疾病との関係疾病・病弱がないだけでは健康と呼ばない健康=無病息災
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