学習トップ理由で解く 柔道整復師衛生学・公衆衛生学 ▸ §1 健康の保持増進と疾病予防 / QJ24A110

理由で解く 柔道整復師

QJ24A110 衛生学・公衆衛生学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問110
問題
プライマリ・ヘルス・ケアとして適切でないのはどれか。
選択肢
1 普通にみられる傷病の治療を行う。
2 包括的に地域住民の健康管理を行う。
3 疾病予防や慢性病患者の生活管理を行う。
4 専門的医療として高度先進医療を提供する。
解答
正解4(専門的医療として高度先進医療を提供する。)
解説

プライマリ・ヘルス・ケア(PHC)は1978年のアルマ・アタ宣言(WHO・UNICEF合同会議)で提唱された、住民が主体となる基礎的・包括的な保健医療活動である。高度先進医療の提供はPHCの役割ではないため、適切でないのは4。

アルマ・アタ宣言はPHCを「実践的で科学的に適正、かつ社会的に受け入れられる方法と技術に基づく必要不可欠なヘルスケア」と定義し、住民の全面的な参加のもと、地域や国が自ら負担できる費用の範囲で提供されるものとした。原則は住民参加、地域のニーズ指向、地域資源の活用と適正技術、多分野の協調である。活動内容は8項目(健康教育、食料供給と適切な栄養、安全な水と基本的な環境衛生、母子保健と家族計画、主要な感染症への予防接種、地方流行病の予防と対策、日常的な疾病・外傷の適切な処置、必須医薬品の供給)が示されている。ここで大事なのは「限られた資源で、住民の身近なところで、多くの人の健康水準を底上げする」という発想であり、高額な設備と専門人材を要する高度先進医療とは目指す方向が逆になる。柔道整復師も、地域住民に身近な一次的対応と生活指導を担う立場として、この考え方を実務の土台に据えたい。

✗ 1. PHCとして適切(答えではない)
普通にみられる傷病の治療を行う。
アルマ・アタ宣言の8項目に「日常的な疾病・外傷の適切な処置」が明記されている。ありふれた傷病を身近な場で確実に手当てすることは、PHCの中心的な業務である。
✗ 2. PHCとして適切(答えではない)
包括的に地域住民の健康管理を行う。
PHCは予防・治療・リハビリテーション・健康増進を切れ目なく扱う包括性を特徴とする。特定の疾患だけを切り出さず、地域全体の健康水準を面で引き上げる考え方である。
✗ 3. PHCとして適切(答えではない)
疾病予防や慢性病患者の生活管理を行う。
予防接種、健康教育、栄養・環境衛生の改善はいずれも8項目に含まれ、慢性疾患をもつ人の日常生活の管理も継続的ケアとしてPHCが担う。
✓ 4. これが適切でない=正答
専門的医療として高度先進医療を提供する。
高度先進医療は高額な設備・専門人材を集約して行う三次医療にあたり、住民が自ら負担できる費用で身近に受けられるというPHCの条件から外れる。高度先進医療が否定されるわけではなく、役割分担の問題である。PHCで拾い上げた症例を二次・三次医療へつなぐ紹介体制を整えることが実践上の答えになる。
ポイント
  • PHC=1978年アルマ・アタ宣言(WHO・UNICEF)。標語は「2000年までにすべての人に健康を」
  • 4原則=住民参加/地域のニーズ指向/地域資源の活用と適正技術/多分野の協調
  • 8つの活動項目=健康教育、食料と栄養、安全な水と環境衛生、母子保健と家族計画、予防接種、地方流行病対策、日常的疾病・外傷の処置、必須医薬品
  • 高度先進医療・三次医療はPHCの範囲外。PHCは一次医療+公衆衛生活動
  • 1986年オタワ憲章のヘルスプロモーション(健康の決定要因をコントロールできるようにする過程)と混同しない
比較表
プライマリ・ヘルス・ケアヘルスプロモーション
提唱1978年 アルマ・アタ宣言1986年 オタワ憲章
主な対象開発途上国を含む全世界の基礎的保健医療先進国を含む健康増進・環境整備
中心概念住民参加による必要不可欠なヘルスケア人々が健康の決定要因を自らコントロールできるようにする過程
代表的な内容予防接種、安全な水、母子保健、日常的傷病の処置健康的な公共政策、支援的環境、地域活動の強化
高度先進医療含まない含まない
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