学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §8 免疫異常・アレルギー / QJ33A124

理由で解く 柔道整復師

QJ33A124 病理学概論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問124
問題
細胞性免疫が低下しないのはどれか。
選択肢
1 伴性無ガンマグロブリン血症
2 後天性免疫不全症候群(AIDS)
3 重症複合型免疫不全症(SCID)
4 ディジョージ(Di George)症候群
解答
正解1(伴性無ガンマグロブリン血症)
解説

伴性無ガンマグロブリン血症はB細胞が育たず抗体を作れなくなる病気で、T細胞が担う細胞性免疫は保たれます。設問は「低下しないもの」を選ぶ形なので、これが答えです。

免疫不全症は、抗体(液性免疫)が主に落ちるもの、T細胞(細胞性免疫)が主に落ちるもの、両方が落ちるものに整理できる。液性免疫が落ちると、莢膜をもつ細菌による中耳炎・副鼻腔炎・肺炎をくり返す。細胞性免疫が落ちると、ウイルス・真菌・細胞内寄生菌による日和見感染や悪性腫瘍が問題になる。どの細胞系統が障害されるかを追えば、起こる感染症も検査所見も予測できる。この問題では、B細胞系だけが障害されT細胞が無事な病態を探せばよい。免疫不全のある人に接する際は、施術者側の手指衛生と体調管理を徹底し、体調不良時の予約変更を事前に取り決めておくと安全に対応できる。

✓ 1. これが答え(細胞性免疫は低下しない)
伴性無ガンマグロブリン血症
ブルトン型無ガンマグロブリン血症とも呼ばれ、X染色体上のBTK遺伝子の異常でB細胞が成熟できず、免疫グロブリンがほとんど産生されない。障害されるのはB細胞系のみで、T細胞の数と機能は保たれるため細胞性免疫は低下しない。母体由来のIgGが減る生後6か月ごろから細菌感染をくり返し、免疫グロブリンの定期補充で管理する。
✗ 2. 細胞性免疫が低下する(答えではない)
後天性免疫不全症候群(AIDS)
HIVがCD4陽性Tリンパ球(ヘルパーT細胞)に感染して破壊するため、細胞性免疫が低下する。ニューモシスチス肺炎、カンジダ症、サイトメガロウイルス感染などの日和見感染やカポジ肉腫が問題になる。
✗ 3. 細胞性免疫が低下する(答えではない)
重症複合型免疫不全症(SCID)
T細胞系とB細胞系がともに障害される。細胞性免疫・液性免疫の両方が高度に低下し、乳児期から重症の感染をくり返す。「複合型」という名称そのものが両方の障害を表している。
✗ 4. 細胞性免疫が低下する(答えではない)
ディジョージ(Di George)症候群
第3・第4咽頭嚢の発生異常により胸腺が低形成となり、T細胞が成熟できず細胞性免疫が低下する。副甲状腺の低形成による低カルシウム血症(テタニー)、心大血管の奇形、特徴的な顔貌を伴う。
ポイント
  • 液性免疫=B細胞・抗体。細胞性免疫=T細胞。どちらの系統が障害されるかで分類する。
  • 伴性無ガンマグロブリン血症(ブルトン病):B細胞のみ障害。T細胞は正常=細胞性免疫は保たれる。
  • ディジョージ症候群:胸腺低形成=T細胞のみ障害。低Ca血症・心奇形を合併。
  • SCID:T・B両方が障害。AIDS:CD4陽性T細胞の破壊で細胞性免疫が低下。
  • 「胸腺」が出たら細胞性免疫、「ガンマグロブリン(免疫グロブリン)」が出たら液性免疫、と語から系統を判断する。
比較表
疾患障害される細胞液性免疫細胞性免疫
伴性無ガンマグロブリン血症B細胞高度に低下保たれる
ディジョージ症候群T細胞(胸腺低形成)ほぼ保たれる低下
重症複合型免疫不全症(SCID)T細胞・B細胞低下低下
後天性免疫不全症候群(AIDS)CD4陽性T細胞二次的に低下低下
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