学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §6 歩行 / QJ33A114

理由で解く 柔道整復師

QJ33A114 運動学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問114
問題
正常歩行時の筋活動を測定した図を示す。前脛骨筋はどれか。
図
選択肢
1 A
2 B
3 C
4 D
解答
正解3
解説

前脛骨筋は歩行周期のなかで、踵接地前後(立脚初期)と遊脚期の二相に集中して活動します。この二峰性のパターンを示す波形が前脛骨筋にあたり、本問ではCが正答とされています。

歩行時の筋活動は「その筋が何を防いでいるか」から逆算すると覚えなくても導けます。前脛骨筋は足関節の背屈筋です。踵接地の直後、足部は床反力によって一気に底屈しようとします。ここで前脛骨筋が遠心性に働いて底屈の速度を制動し、足底が床にたたきつけられるのを防ぎます(この機能が失われた状態が、いわゆる foot slap です)。続く立脚中期から立脚終期にかけては、体重を支え蹴り出すのは下腿三頭筋の役目なので、前脛骨筋の活動はいったん静かになります。そして足が床を離れる遊脚期には、つま先が床に引っかからないよう(toe clearance)足関節を背屈位に保つ必要があり、再び活動します。したがって前脛骨筋の筋電図は「立脚初期に一峰、遊脚期にもう一峰」という二相性になります。以下は、前脛骨筋と紛らわしい他の筋の典型パターンです(どの波形がどの筋にあたるかは図で確認してください)。下腿三頭筋は立脚中期から立脚終期にピークをもつ一峰性、大腿四頭筋は荷重応答期に膝折れを防ぐ短い活動、ハムストリングスは遊脚終期に振り出した下腿を減速させて立脚初期まで続く活動です。いずれも「立脚初期+遊脚期の二峰性」という前脛骨筋の形とは異なります。

✓ 3. 正しい
C
図に示された波形のうち、踵接地前後の立脚初期と遊脚期の二相に活動が現れる二峰性のパターンが前脛骨筋にあたり、本問ではこれがCとされています。立脚初期は底屈の制動(遠心性収縮)、遊脚期はつま先を上げて床との接触を避けるための活動で、いずれも背屈筋としての役割から説明できます。
✗ 1. 誤り
A
A・B・Dが具体的にどの筋にあたるかは図で確認してください。判定の根拠は一点で、この波形は前脛骨筋に特徴的な「立脚初期+遊脚期」の二峰性を示していないため該当しません。紛らわしい他の筋の典型パターンは、上の本文と下の比較表にまとめてあります。
✗ 2. 誤り
B
この波形も、活動の山が立脚初期と遊脚期の二相に分かれる二峰性のパターンには合致しないため、前脛骨筋ではありません。どの筋の波形かは図で確認したうえで、比較表に挙げた各筋の活動時期と照合してください。
✗ 4. 誤り
D
この波形も前脛骨筋の二峰性とは異なるため該当しません。前脛骨筋かどうかは「立脚初期と遊脚期の二か所に山があるか」だけで判断でき、他の波形がどの筋かを当てなくても正答にはたどり着けます。各筋の典型パターンは比較表を参照してください。
ポイント
  • 前脛骨筋は二峰性:立脚初期(底屈の制動=遠心性収縮)と遊脚期(toe clearanceのための背屈保持)。
  • 機能が落ちると、踵接地後に足底がたたきつけられる foot slap と、遊脚期のつま先の引っかかりが生じる。
  • 下腿三頭筋は立脚中期〜終期に一峰性。前脛骨筋とは活動時期が入れ替わる関係。
  • 大腿四頭筋は荷重応答期に膝折れを防ぐ短い活動。ハムストリングスは遊脚終期〜立脚初期。
  • 波形問題は「二峰性かどうか」で前脛骨筋を特定でき、他の波形の筋名を当てる必要はない。
  • 筋電図の問題は「その筋が何を防ぐために働くか」から時期を逆算すると、暗記なしで解ける。
比較表
主な活動時期役割
前脛骨筋立脚初期+遊脚期(二峰性)底屈の制動、つま先の引っかかり防止
下腿三頭筋立脚中期〜立脚終期体幹の前方移動の制御と蹴り出し
大腿四頭筋荷重応答期膝折れの防止
ハムストリングス遊脚終期〜立脚初期下腿の振り出しの減速、股関節の安定
大殿筋遊脚終期〜荷重応答期体幹の前傾防止、股関節伸展
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。