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理由で解く 柔道整復師

QJ33A094 生理学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問94
問題
IgE の受容体を有するのはどれか。
選択肢
1 単球
2 好中球
3 好塩基球
4 樹状細胞
解答
正解3(好塩基球)
解説

IgEのFc部分が結合する高親和性受容体(FcεRI)を細胞膜にもつのは、組織の肥満細胞(マスト細胞)と血中の好塩基球である。選択肢の中で当てはまるのは3の好塩基球。

IgEは5つの抗体クラスのうち血中濃度が最も低いが、産生されるとすぐに肥満細胞・好塩基球のFcεRIに捕まり、細胞表面に抗原センサーとして並んで待機する。この状態が「感作」である。同じ抗原がふたたび侵入して隣り合う2分子のIgEを橋渡し(架橋)すると、細胞内へ活性化シグナルが入る。まず脱顆粒によって顆粒内にあらかじめ蓄えられていたヒスタミン(とヘパリン)が即座に放出され、続いて細胞膜のリン脂質から遊離したアラキドン酸をもとに新たに合成されたロイコトリエン(LTC4など)やプロスタグランジン(PGD2)といった脂質メディエーターが放出される。その結果、細気管支平滑筋の収縮、血管透過性の亢進(浮腫・膨疹)、血管拡張、粘液分泌の増加が数分以内に現れる。これがI型(即時型)アレルギーで、花粉症・蕁麻疹・気管支喘息・アナフィラキシーの本体である。したがって「IgE受容体をもつ細胞」を問われたら、貪食や抗原提示を担当する白血球ではなく、ヒスタミン顆粒をもつ細胞=肥満細胞と好塩基球を思い出せばよい。

✓ 3. 正しい
好塩基球
好塩基球は白血球の1%未満しかない最少の顆粒球だが、肥満細胞と同じくヒスタミンとヘパリンを含む好塩基性顆粒をもち、細胞膜に高親和性IgE受容体(FcεRI)を発現している。抗原が結合済みIgEを架橋すると脱顆粒してヒスタミンを放出し、続いてロイコトリエンなどの脂質メディエーターを新たに産生して、I型アレルギーの即時反応を起こす。「好塩基球・肥満細胞=IgE=ヒスタミン=即時型アレルギー」を一本の線でつないで覚えるとよい。
✗ 1. 誤り
単球
単球は血中で最も大きい白血球で、組織へ遊走するとマクロファージに分化する。主に使う受容体はIgGを認識するFcγ受容体と補体受容体(C3b)で、オプソニン化された細菌を貪食し、消化した抗原を提示するのが役割である。高親和性IgE受容体(FcεRI)をもつ脱顆粒細胞ではないので、ここでは選ばない。単球は「貪食+抗原提示+サイトカイン産生」の担当と整理しておく。
✗ 2. 誤り
好中球
好中球は白血球の50〜70%を占め、細菌感染の最前線に最初に駆けつける急性炎症の主役である。Fcγ受容体と補体受容体で標識された細菌を貪食し、活性酸素やリソソーム酵素で殺菌する。同じ顆粒球でも好中球の顆粒はヒスタミンを含まず、IgE受容体も発現しないため該当しない。顆粒球を問われたら「好中球=細菌、好酸球=寄生虫とアレルギー後期、好塩基球=IgEとヒスタミン」と役割で区別する。
✗ 4. 誤り
樹状細胞
樹状細胞は取り込んだ抗原をペプチドに分解し、MHCクラスIIに載せてリンパ節でナイーブT細胞に提示する、獲得免疫の起点となる抗原提示細胞である。ヒトの皮膚のランゲルハンス細胞など一部の樹状細胞もFcεRIを発現するが、それはIgEを使って抗原を効率よく捕らえて提示するための仕組みであり、脱顆粒してヒスタミンを放出する装置ではない。本問が問う「IgE受容体をもつ細胞」=ヒスタミン顆粒をもち即時型反応を起こす肥満細胞・好塩基球には当たらないので、3を選ぶ。
ポイント
  • 高親和性IgE受容体(FcεRI)をもつのは肥満細胞(組織)と好塩基球(血中)。この2つは常にセットで覚える。
  • 抗原が細胞表面のIgEを架橋 → 脱顆粒でヒスタミン放出+ロイコトリエンなどの脂質メディエーター産生 → I型(即時型)アレルギー(花粉症・蕁麻疹・気管支喘息・アナフィラキシー)。
  • 顆粒にあらかじめ蓄えられているのはヒスタミンとヘパリン。ロイコトリエン(LTC4)やプロスタグランジン(PGD2)は活性化後に膜リン脂質のアラキドン酸から新規合成される脂質メディエーターで、脱顆粒による放出ではない。
  • 好中球・単球/マクロファージが主に使うのはFcγ受容体(IgG用)と補体受容体で、働きはオプソニン化された異物の貪食。
  • 樹状細胞はMHCクラスIIでT細胞に抗原を提示する司令塔。一部はFcεRIを発現するが抗原捕捉・提示のためで、脱顆粒を起こす細胞ではない。
  • 好塩基球は白血球の1%未満と最も少ないが、ヒスタミンとヘパリンを含む顆粒をもつ点で肥満細胞と共通する。低親和性IgE受容体(CD23)はB細胞などに発現する。
比較表
細胞主に用いる受容体主な働きIgE受容体
好塩基球FcεRI(高親和性IgE受容体)脱顆粒でヒスタミンを放出し、ロイコトリエンなどを産生、I型アレルギーあり(FcεRI)
肥満細胞(組織)FcεRI(高親和性IgE受容体)粘膜・皮膚での即時型アレルギー反応あり(FcεRI)
好中球Fcγ受容体・補体受容体細菌の貪食と殺菌(急性炎症の主役)なし
単球/マクロファージFcγ受容体・補体受容体貪食、抗原提示、サイトカイン産生高親和性(FcεRI)はなし。低親和性のCD23は発現しうる
樹状細胞パターン認識受容体(TLRなど)・Fcγ受容体MHCクラスIIで抗原ペプチドを提示し、ナイーブT細胞を活性化あり(FcεRI、ただし抗原提示用で脱顆粒しない)
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