学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §9 内分泌 / QJ33A091

理由で解く 柔道整復師

QJ33A091 生理学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問91
問題
甲状腺ホルモンで誤っているのはどれか。
選択肢
1 基礎代謝を下げる。
2 合成にヨウ素が必要である。
3 サイロキシンの生理活性は弱い。
4 甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑制する。
解答
正解1(基礎代謝を下げる。)
解説

甲状腺ホルモンは全身の代謝を高めるホルモンで、基礎代謝を「上げる」。したがって1が誤りで、これが正答となる。

甲状腺の濾胞上皮細胞は、血中から取り込んだヨウ素をチログロブリンのチロシン残基に結合させ、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)を作る。分泌されるのはT4が大部分だが、標的細胞内で脱ヨウ素酵素によりT3に変換されてから核内受容体に結合するため、生理活性はT3のほうが数倍強い。作用は全身の細胞の酸素消費とエネルギー代謝を高めること、すなわち基礎代謝の亢進であり、体温上昇、心拍数増加、成長・発達の促進を伴う。分泌は視床下部のTRH、下垂体前葉のTSHで調節され、血中の甲状腺ホルモンが増えるとTRH・TSHが抑えられる負のフィードバックが働く。バセドウ病で暑がり・体重減少・頻脈が現れるのは代謝亢進の裏返しだと結びつけて覚えるとよい。

✓ 1. これが誤り(正答)
基礎代謝を下げる。
実際は基礎代謝を上げる。細胞の酸素消費と熱産生を高め、体温・心拍数も上昇させる。分泌不足では代謝が落ち、寒がり、体重増加、粘液水腫が現れる。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
合成にヨウ素が必要である。
T4はヨウ素4個、T3は3個を含む。ヨウ素が不足すると合成できず、TSHの刺激が続いて甲状腺腫を生じる。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
サイロキシンの生理活性は弱い。
分泌量はT4が圧倒的に多いが、活性はT3のほうが強い。T4は末梢組織でT3に変換されて働く、いわばプロホルモン的な位置づけである。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑制する。
負のフィードバックである。血中の甲状腺ホルモンが増えると、下垂体前葉からのTSH分泌と視床下部からのTRH分泌が抑えられる。
ポイント
  • 甲状腺ホルモンの中心作用は基礎代謝の亢進。体温上昇、心拍数増加、成長・発達の促進を伴う。
  • 合成にはヨウ素が必須。T4はヨウ素4個、T3は3個。
  • 分泌量はT4>T3だが、生理活性はT3>T4。T4は末梢でT3に変換されて働く。
  • 視床下部TRH→下垂体前葉TSH→甲状腺、という軸と負のフィードバックをセットで覚える。
  • 甲状腺の傍濾胞細胞(C細胞)が出すカルシトニンは別系統のホルモンで、血中カルシウムを下げる。混同しないよう区別しておく。
比較表
サイロキシン(T4)トリヨードサイロニン(T3)
ヨウ素の数4個3個
分泌量多い(大部分)少ない
生理活性弱い強い
役割末梢でT3に変換される前駆体的存在核内受容体に結合して作用を発揮
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