学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §2 運動器系 / QJ33A060

理由で解く 柔道整復師

QJ33A060 解剖学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問60
問題
内転筋管を通過するのはどれか。
選択肢
1 大腿神経
2 大腿動脈
3 閉鎖神経
4 閉鎖動脈
解答
正解2(大腿動脈)
解説

内転筋管(ハンター管)を通るのは大腿動脈・大腿静脈・伏在神経で、選択肢のうち該当するのは大腿動脈。正解は 2 である。

内転筋管は大腿中央部内側にある管状の隙間で、前内側を縫工筋(と広筋内転筋板)、外側を内側広筋、後内側を長内転筋・大内転筋が囲む。大腿三角の尖から始まり、大内転筋の腱裂孔(内転筋腱裂孔)を経て膝窩へ抜ける通路で、内容は大腿動脈・大腿静脈・伏在神経(および下行膝動脈)である。大腿動脈は腱裂孔を通過したところで名称を膝窩動脈に変える。一方、大腿神経は鼠径靱帯の下の筋裂孔を通って大腿に入るが、大腿三角ですぐ多数の枝に分かれてしまい、本幹として内転筋管に入ることはない。管に入るのは、その終枝で純粋な感覚枝である伏在神経だけである。閉鎖神経と閉鎖動脈はまったく別の通路、すなわち閉鎖膜の上部にある閉鎖管を通って大腿内側に出る。「どの通路に何が通るか」をセットで押さえると、この形式の問題は確実に取れる。

✓ 2. 正しい
大腿動脈
大腿動脈は血管裂孔を通って大腿三角に入り、そのまま内転筋管を下行して内転筋腱裂孔を抜け、膝窩動脈となる。伴走する大腿静脈と伏在神経も同じ管を通る。大腿骨顆上骨折(伸展型)や膝関節脱臼で膝窩動脈損傷が問題になるのは、大腿動脈がこの内転筋腱裂孔を抜けたあと、膝窩で骨に接して走るためである(大腿骨骨幹部骨折で警戒されるのは、これとは別に大腿深動脈系の損傷による大量出血・ショックである)。
✗ 1. 誤り
大腿神経
大腿神経は腸腰筋の外側で筋裂孔を通り大腿へ出るが、大腿三角内で筋枝と皮枝に分岐して短く終わる。内転筋管を通るのは大腿神経本幹ではなく、その終枝である伏在神経(下腿内側〜足内側の感覚枝)である。
✗ 3. 誤り
閉鎖神経
閉鎖神経(L2〜L4)は骨盤内を下り、閉鎖膜上部の閉鎖管を通って大腿内側に出て、内転筋群(長内転筋・短内転筋・大内転筋の一部・薄筋・外閉鎖筋)を支配する。内転筋管とは通路も内容も別である。
✗ 4. 誤り
閉鎖動脈
閉鎖動脈は内腸骨動脈の枝で、閉鎖神経とともに閉鎖管を通って大腿内側に出る。名前のとおり「閉鎖」がつくものは閉鎖管を通ると対応づけて覚えるとよい。
ポイント
  • 内転筋管の内容は大腿動脈・大腿静脈・伏在神経。神経は本幹の大腿神経ではなく終枝の伏在神経。
  • 出口は内転筋腱裂孔。ここを抜けた大腿動脈は膝窩動脈と名を変える。
  • 膝窩動脈損傷が問題になるのは大腿骨顆上骨折(伸展型)・膝関節脱臼・脛骨高原骨折。大腿骨骨幹部骨折では大腿深動脈系の損傷による大量出血に注意する。
  • 鼠径靱帯の下は腸恥筋膜弓で二分され、外側の筋裂孔に腸腰筋・大腿神経、内側の血管裂孔に大腿動静脈・リンパ管が通る。
  • 閉鎖神経と閉鎖動脈は閉鎖管を通り、内転筋群を支配・栄養する。
  • 大腿三角(スカルパ三角)は上を鼠径靱帯、外側を縫工筋、内側を長内転筋で囲まれ、その尖が内転筋管の入口になる。
比較表
通路境界の要点通る主なもの
内転筋管(ハンター管)縫工筋・内側広筋・大内転筋に囲まれる大腿動脈、大腿静脈、伏在神経、下行膝動脈
筋裂孔鼠径靱帯の下、腸恥筋膜弓の外側腸腰筋、大腿神経、外側大腿皮神経
血管裂孔鼠径靱帯の下、腸恥筋膜弓の内側大腿動脈、大腿静脈、リンパ管(大腿輪)
閉鎖管閉鎖膜の上部、閉鎖溝閉鎖神経、閉鎖動脈、閉鎖静脈
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