学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §9 総論 軟部組織損傷 / QJ32P069

理由で解く 柔道整復師

QJ32P069 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問69
問題
神経麻痺と症状の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 総腓骨神経-下垂足
2 長胸神経-翼状肩甲
3 閉鎖神経-ハサミ足
4 後骨間神経-下垂指
解答
正解3(閉鎖神経-ハサミ足)
解説

この設問は「神経麻痺と症状の組合せで誤っているもの」を選ぶ問題。閉鎖神経麻痺で起こるのは股関節内転の脱力と大腿内側の感覚障害であり、ハサミ足は内転筋の痙縮(筋緊張の亢進)による歩容なので、3の組合せが成り立たない。

末梢神経障害は「支配筋が働かなくなる → その筋の作用が失われた肢位・歩容が出る」という一本の筋道で覚えると取り違えない。総腓骨神経は前脛骨筋など足背屈筋群を支配し、麻痺すると足が垂れる。長胸神経は前鋸筋だけを支配し、麻痺すると肩甲骨を胸郭に押さえつけられず内側縁が浮く。後骨間神経は手指の伸筋群を支配するが、手関節背屈を担う長・短橈側手根伸筋には分岐前に枝が出ているため、手関節背屈は保たれて手指だけが垂れる。一方、閉鎖神経が麻痺すれば内転力が落ちて下肢はむしろ開き気味になり、両膝が交叉するハサミ足とは逆の状態になる。ハサミ足は脳性麻痺や痙性対麻痺など上位運動ニューロン障害で内転筋の緊張が高まったときの歩容で、末梢神経麻痺の結果ではない。

✓ 3. これが誤った組合せ(正解)
閉鎖神経-ハサミ足
閉鎖神経は長・短・大内転筋、薄筋などを支配する。麻痺すれば内転できず下肢が外方へ開き、大腿内側の感覚も鈍る。ハサミ足(両膝が擦れ合い交叉する歩行)は内転筋が過緊張している状態で生じるため、麻痺の症状としては逆向き。歩容だけで判断せず、内転の徒手筋力と大腿内側の感覚を確認し、痙性が疑われれば中枢性疾患として医療機関につなぐ。
✗ 1. 正しい組合せ(答えではない)
総腓骨神経-下垂足
総腓骨神経は腓骨頸部で骨に接して走るため圧迫に弱い。麻痺すると前脛骨筋・長趾伸筋などが働かず足関節背屈と足趾伸展ができなくなり、下垂足と鶏歩を呈する。腓骨頸部を圧迫しない固定・肢位を心がける。
✗ 2. 正しい組合せ(答えではない)
長胸神経-翼状肩甲
長胸神経は前鋸筋を支配する。麻痺すると肩甲骨を胸郭に引き寄せられず、壁を押させると肩甲骨内側縁が翼のように浮き上がる。上肢の前方挙上も制限される。
✗ 4. 正しい組合せ(答えではない)
後骨間神経-下垂指
後骨間神経は橈骨神経深枝の続きで、総指伸筋・小指伸筋・長母指伸筋などを支配する運動枝。麻痺ではMP関節の伸展ができず指が垂れる(下垂指)が、手関節背屈と手背の感覚は保たれる点が橈骨神経本幹麻痺(下垂手)との違い。
ポイント
  • 総腓骨神経麻痺=下垂足・鶏歩。腓骨頸部は圧迫に弱く、固定時の要注意ポイント。
  • 長胸神経麻痺=前鋸筋麻痺=翼状肩甲。壁押しテストで肩甲骨内側縁が浮く。
  • 後骨間神経麻痺=下垂指(手関節背屈と感覚は保たれる)/橈骨神経本幹麻痺=下垂手。
  • 閉鎖神経麻痺=股関節内転力低下+大腿内側の感覚障害。下肢は開き気味になる。
  • ハサミ足は内転筋の痙縮による歩容で、上位運動ニューロン障害(脳性麻痺・痙性対麻痺)を示唆する。
比較表
神経主な支配筋麻痺で出る所見
総腓骨神経前脛骨筋・長趾伸筋・腓骨筋群下垂足、鶏歩、下腿外側〜足背の感覚障害
長胸神経前鋸筋翼状肩甲、上肢前方挙上の制限
後骨間神経総指伸筋・長母指伸筋など下垂指(手関節背屈は保たれる)
閉鎖神経内転筋群・薄筋股関節内転力低下、大腿内側の感覚障害
(参考)上位運動ニューロン障害内転筋の痙縮によるハサミ足、腱反射亢進
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