学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §16 部位別各論 肩・肩甲帯 / QJ32P065

理由で解く 柔道整復師

QJ32P065 整形外科学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問65
問題
肩関節疾患と合併症の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 肩関節周囲炎-橈骨神経麻痺
2 肩鎖関節脱臼-血栓症
3 肩関節脱臼-腱板断裂
4 野球肩 -異所性骨化
解答
正解3(肩関節脱臼-腱板断裂)
解説

肩関節脱臼では、とくに中高年で腱板断裂を合併しやすい。他の3つは疾患と合併症が結びつかない組合せである。

肩関節前方脱臼の合併症は年齢によって顔ぶれが変わると理解しておくと整理しやすい。若年者では関節唇・関節包が前下方で剥がれるバンカート損傷と、上腕骨頭後外側が関節窩縁にぶつかって陥凹するヒル・サックス損傷が主体で、これらが反復性脱臼の基盤となる。一方40歳以上では関節唇より腱板側が先に破綻しやすく、脱臼に伴って腱板断裂を合併する頻度が高まる。また腋窩神経は上腕骨外科頸に沿って走るため、脱臼や整復操作で麻痺しうる。したがって整復後に自動挙上ができない、外転の脱力が続くといった場合は、固定期間のせいと片づけず、腱板断裂や腋窩神経麻痺を念頭に置いて三角筋部の感覚と自動運動を確認し、必要に応じて画像評価につなぐ。

✓ 3. 正しい
肩関節脱臼-腱板断裂
肩関節脱臼、とくに中高年例では腱板断裂の合併がしばしばみられる。整復後も自動挙上が戻らない、外転筋力が低下したままという場合は本合併症を疑い、腋窩神経麻痺との鑑別も含めて評価を進める。
✗ 1. 誤り
肩関節周囲炎-橈骨神経麻痺
肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)は関節包や腱板疎部の炎症・拘縮が主体で、夜間痛と全方向の可動域制限を特徴とする。橈骨神経麻痺とは結びつかない。橈骨神経麻痺は上腕骨骨幹部骨折や上腕外側の長時間の圧迫で生じ、下垂手を呈する。
✗ 2. 誤り
肩鎖関節脱臼-血栓症
肩鎖関節脱臼で問題になるのは、肩鎖靭帯・烏口鎖骨靭帯の損傷による鎖骨遠位端の上方転位であり、ピアノキー徴候が特徴となる。血栓症は合併症として結びつかない。
✗ 4. 誤り
野球肩 -異所性骨化
野球肩(投球障害肩)は投球動作の反復による腱板や関節唇、上腕二頭筋長頭腱の障害、成長期では上腕骨近位骨端線の離開(リトルリーグ肩)が主体である。異所性骨化を典型的な合併症とはしない。
ポイント
  • 肩関節脱臼の合併症は年齢で変わる。若年=バンカート損傷・ヒル-サックス損傷、中高年=腱板断裂。
  • 脱臼に伴う神経障害は腋窩神経麻痺(三角筋の筋力低下と肩外側の感覚障害)。
  • 整復後に自動挙上が戻らないときは、腱板断裂・腋窩神経麻痺を想定して評価し、画像につなぐ。
  • 肩関節周囲炎=関節包・腱板疎部の拘縮。神経麻痺は伴わない。
  • 肩鎖関節脱臼=烏口鎖骨靭帯損傷による鎖骨遠位端の上方転位、ピアノキー徴候。
比較表
疾患押さえるべき合併症・特徴所見
肩関節脱臼(若年)バンカート損傷、ヒル-サックス損傷 → 反復性脱臼
肩関節脱臼(中高年)腱板断裂、腋窩神経麻痺
肩関節周囲炎夜間痛、全方向の可動域制限(拘縮)
肩鎖関節脱臼鎖骨遠位端の上方転位、ピアノキー徴候
野球肩(投球障害肩)腱板・関節唇・上腕二頭筋長頭腱の障害、リトルリーグ肩(骨端線離開)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。