学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §16 部位別各論 肩・肩甲帯 / QJ31P064

理由で解く 柔道整復師

QJ31P064 整形外科学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問64
問題
上肢疾患と好発年齢の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 離断性骨軟骨炎-壮年期
2 上腕骨外科頸骨折-一老年期
3 石灰沈着性滑液包炎-学童期
4 上腕二頭筋断裂-青年期
解答
正解2(上腕骨外科頸骨折-一老年期)
解説

上腕骨外科頸骨折は、骨粗鬆症を背景に高齢者が転倒して起こす代表的な骨折である。正しい組合せは2。

好発年齢を丸暗記せずにすませるコツは、その年代で最も弱い組織はどこかを考えることである。成長期は骨端線と関節軟骨がまだ弱く、繰り返す力がここに集中する。上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎(いわゆる野球肘の外側型)は、投球時に肘外側で橈骨頭と上腕骨小頭がぶつかり合う圧迫・剪断力によって生じるもので、10歳前後から10代前半の成長期に起こる。中年期になると腱・腱板の血流が乏しい部分から退行変性が始まり、そこにカルシウムが沈着したり、腱そのものが弱くなったりする。肩の石灰沈着性腱板炎・滑液包炎が40〜50歳代(女性にやや多い)に夜間の激痛で発症するのも、上腕二頭筋長頭腱断裂が50〜60歳代に「重い物を持ち上げたら音がして力こぶが下がった」という形で起こるのも、この変性が土台にある。そして高齢期は骨量そのものが減り、転倒という日常的な出来事で骨が折れるようになる。上腕骨外科頸(解剖頸のすぐ遠位、大結節・小結節の下方のくびれ)は、骨皮質が薄く海綿骨に富む移行部で、転倒して手をつく・肩を打つと外力が集中する。橈骨遠位端骨折、大腿骨近位部骨折、脊椎圧迫骨折と並ぶ高齢者四大骨折の一つである。

✓ 2. 正しい
上腕骨外科頸骨折-一老年期
骨皮質が薄く海綿骨に富む部位で、骨粗鬆症のある高齢者が転倒して手をつく・肩を打つことで生じる。腋窩神経が近接するため三角筋部の感覚と外転筋力の確認を行い、高齢者では固定に伴う肩の拘縮を防ぐ配慮が要る。
✗ 1. 誤り
離断性骨軟骨炎-壮年期
上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎は成長期(学童期〜10代前半)に多い。投球動作で肘外側に圧迫・剪断力が繰り返し加わることが原因で、遊離体になる前に発見して投球を制限できるかが予後を左右する。壮年期ではない。
✗ 3. 誤り
石灰沈着性滑液包炎-学童期
肩の石灰沈着性腱板炎・滑液包炎は40〜50歳代(女性にやや多い)に好発する。腱板の変性部にリン酸カルシウムが沈着し、それが吸収される時期に激烈な痛みと著しい運動制限をきたす。学童期の疾患ではない。
✗ 4. 誤り
上腕二頭筋断裂-青年期
上腕二頭筋長頭腱断裂は腱の退行変性を基盤とするため、50〜60歳代の中高年に多い。結節間溝で摩耗した腱が、重量物の挙上などをきっかけに断裂し、筋腹が遠位に下がって「ポパイ徴候」を呈する。青年期ではない。
ポイント
  • 好発年齢はその年代で最も弱い組織で決まる。成長期=骨端線・関節軟骨、中年期=腱の変性、老年期=骨量減少
  • 上腕骨外科頸骨折=老年期。転倒による高齢者四大骨折(脊椎圧迫・大腿骨近位部・橈骨遠位端・上腕骨近位部)の一つ
  • 離断性骨軟骨炎(上腕骨小頭)=成長期の投球障害。遊離体になる前の発見が重要
  • 石灰沈着性腱板炎・滑液包炎=40〜50歳代、夜間の激痛と著明な運動制限
  • 上腕二頭筋長頭腱断裂=50〜60歳代、腱の変性が基盤。ポパイ徴候
  • 上腕骨外科頸骨折では腋窩神経損傷の合併に注意し、三角筋部の感覚と外転筋力を確認する
比較表
疾患好発年齢弱くなっている組織典型的な訴え
離断性骨軟骨炎(上腕骨小頭)学童期〜10代前半成長期の関節軟骨・軟骨下骨投球時の肘外側痛、伸展制限、ロッキング
石灰沈着性腱板炎・滑液包炎40〜50歳代腱板の変性部突然の夜間激痛、ほぼ全方向の運動制限
上腕二頭筋長頭腱断裂50〜60歳代結節間溝で摩耗・変性した腱挙上時の断裂音、力こぶが下がる(ポパイ徴候)
上腕骨外科頸骨折老年期骨量の減少した海綿骨転倒後の肩の激痛・腫脹・皮下出血
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。