学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 整形外科学 ▸ §16 部位別各論 肩・肩甲帯 / QJ28P063
理由で解く 柔道整復師
肩腱板断裂の慢性期を代表する所見は夜間痛である。腱板が上腕骨頭を関節窩へ引きつける働きを失うため骨頭は上方へずれ、肩峰骨頭間距離はむしろ狭くなる。
腱板(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)は、上腕骨頭を関節窩に押しつけて回転の支点をつくる「求心力」を担っている。断裂するとこの支点が崩れ、三角筋の上向きの力が抑えられずに骨頭が上方へ移動し、肩峰下で腱板と滑液包が繰り返し挟まれる。慢性期にはこれに、肩峰下滑液包の炎症と癒着、棘上筋・棘下筋が萎縮して肩甲骨の棘上窩・棘下窩が陥凹して見えること、運動時の軋轢音が加わってくる。痛みは夜間に強まるのが特徴で、臥位になると肩峰下の内圧が上がって血流がうっ滞するためと説明される。一方で関節包そのものは縮んでいないので、他動での可動域は比較的保たれ、三角筋の代償によって挙上できる例も少なくない。この「痛むが動く」という組み合わせが、可動域そのものが失われる肩関節周囲炎との分かれ目になる。
| 項目 | 肩腱板断裂(慢性期) | 肩関節周囲炎(凍結肩) |
|---|---|---|
| 夜間痛 | あり(特徴的) | あり(拘縮期に強い) |
| 自動挙上 | 三角筋の代償で可能なことが多い | 可動域そのものが制限される |
| 他動可動域 | 比較的保たれる | 全方向、とくに外旋が制限 |
| drop arm sign | 陽性となりうる(とくに広範囲断裂。小さな断裂では陰性のこともある) | 判定不能(他動でも挙上位を作れず、テストが成立しない) |
| 肩峰骨頭間距離 | 狭くなる(5mm以下は広範囲断裂を示唆) | 変化しにくい |
| 筋萎縮 | 棘上窩・棘下窩に陥凹(棘上筋・棘下筋の萎縮) | 目立ちにくい |
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