学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §6 総論 スポーツ整形外科 / QJ32P057

理由で解く 柔道整復師

QJ32P057 整形外科学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問57
問題
スポーツ障害で正しいのはどれか。
選択肢
1 急激な外力が加わることで生じる。
2 捻挫はスポーツ障害にあたる。
3 要因に関節弛緩性がある。
4 用具は原因とならない。
解答
正解3(要因に関節弛緩性がある。)
解説

スポーツによる運動器の傷害は、一度の大きな外力で起こる「スポーツ外傷」と、小さな負荷の繰り返しが蓄積して起こる「スポーツ障害」に分けられる。本問は後者(障害=オーバーユース)の特徴を問うている。

スポーツ障害の代表は疲労骨折、シンスプリント、テニス肘・ゴルフ肘、ジャンパー膝、野球肘といった腱・付着部・骨の慢性的な負荷による病態である。発生要因は二つに整理すると覚えやすい。選手側の内的要因(下肢アライメント異常、関節弛緩性、筋力・柔軟性の不足、成長期の骨端の弱さ、体格や年齢)と、環境側の外的要因(練習量・練習頻度、フォーム、シューズやラケットなどの用具、路面やコートの硬さ)である。したがって対策も「休ませる」だけでは足りず、内的要因には筋力強化・柔軟性改善・フォーム修正、外的要因には練習量の調整や用具・路面の見直しというように、要因を一つずつ点検して負荷を減らす方向で組み立てる。なお外傷と障害の線引きは成書により幅があり、繰り返す捻挫が慢性不安定症へ移行するように両者が連続する例もある。

✓ 3. 正しい
要因に関節弛緩性がある。
関節弛緩性(全身関節弛緩性)があると関節の支持性が乏しく、同じ運動量でも靭帯・関節包・腱の付着部に負荷が偏って集中する。成長期や女性で問題になりやすく、スポーツ障害の内的要因として挙げられる。弛緩性そのものは変えられないため、周囲筋の強化とフォーム指導、テーピングなどで支持性を補うのが現実的な対応となる。
✗ 1. 誤り
急激な外力が加わることで生じる。
一度の急激な外力で生じるのはスポーツ外傷の説明である。障害は、それ自体では組織を壊さない程度の小さな負荷が反復・蓄積して成立する点が対になる。
✗ 2. 誤り
捻挫はスポーツ障害にあたる。
捻挫は一回の外力で靭帯が損傷される急性の損傷であり、骨折・脱臼・肉ばなれと同じくスポーツ外傷に分類される。ただし足関節捻挫を繰り返して不安定性が残ると、二次的に慢性の障害へ移行することがあるため、初回の捻挫をきちんと治しきることが障害の予防にもなる。
✗ 4. 誤り
用具は原因とならない。
シューズの摩耗やサイズ不適合、ラケットのグリップ径・ガット張力、バットやスパイクの選択、路面やコートの硬さなどは外的要因として発症に関与する。用具や環境は選手の身体条件と違ってすぐ変えられるため、まず点検すべき項目にあたる。
ポイント
  • スポーツ外傷=1回の大きな外力/スポーツ障害=小さな負荷の反復(オーバーユース)。
  • 内的要因:関節弛緩性、アライメント異常、筋力・柔軟性不足、成長期の骨端の弱さ。
  • 外的要因:練習量・フォーム、シューズやラケットなどの用具、路面の硬さ。
  • 外傷側の代表=捻挫・脱臼・骨折・肉ばなれ/障害側の代表=疲労骨折・シンスプリント・テニス肘・野球肘。
  • 対応は休止だけで終えず、内的・外的要因を点検して負荷を調整し、復帰までの計画を立てる。
比較表
スポーツ外傷スポーツ障害
外力のかかり方1回の大きな外力(急性)小さな外力の反復・蓄積(慢性)
発症の仕方受傷の瞬間がはっきりするいつからか特定しにくい
代表疾患捻挫、脱臼、骨折、肉ばなれ疲労骨折、シンスプリント、テニス肘、野球肘、ジャンパー膝
主な要因接触・転倒・急な方向転換内的(関節弛緩性・アライメント・筋力不足)+外的(練習量・用具・路面)
対策の軸受傷機転の回避、防具、ルール負荷量の調整、フォーム・用具の見直し、筋力/柔軟性の改善
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