学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §17 主要な疾患 膠原病 / QJ32P039

理由で解く 柔道整復師

QJ32P039 一般臨床医学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問39
問題
強皮症で誤っているのはどれか。
選択肢
1 嚥下障害がみられる。
2 蝶形紅斑がみられる。
3 手指の浮腫がみられる。
4 喀痰を伴わない咳嗽がみられる。
解答
正解2(蝶形紅斑がみられる。)
解説

強皮症(全身性強皮症)は、血管障害と線維化によって皮膚と内臓が硬くなる膠原病です。レイノー現象・手指の腫れ・食道の動きの低下・間質性肺疾患が典型で、蝶形紅斑は全身性エリテマトーデス(SLE)の顔面所見ですから、これが「誤っている」記述にあたります。

病態の柱は二つ、「細小血管の障害」と「線維芽細胞が暴走してコラーゲンを作りすぎること」です。まず指先の血管が縮んでレイノー現象(寒冷や緊張で指が白→紫→赤と変化する)が起こり、初期には指がソーセージのようにむくみます(浮腫期)。次いで皮膚が硬く突っ張り、指が曲がったまま固まっていきます(硬化期)。同じ線維化が内臓の平滑筋や間質にも及ぶのがこの病気の本質で、食道では下部の平滑筋が動かなくなって飲み込みにくさや胸やけが、肺では間質が厚く硬くなって痰の出ない乾いた咳と労作時の息切れが現れます。顔面では皮膚が硬化して表情が乏しくなり(仮面様顔貌)、口が小さく開きにくくなる(小口症)のが特徴で、赤い発疹が主役になる病気ではありません。「硬くなる病気(強皮症)」と「赤い発疹が出る病気(SLE・皮膚筋炎)」を分けて覚えると、この手の問題は迷わなくなります。

✓ 2. これが誤り(=設問の答え)
蝶形紅斑がみられる。
蝶形紅斑は両頬から鼻背にかけて蝶が羽を広げたように広がる紅斑で、全身性エリテマトーデス(SLE)の代表的な皮膚所見です。強皮症の顔面所見は皮膚硬化による仮面様顔貌・小口症・鼻翼の菲薄化であり、蝶形紅斑は出ません。したがって設問「誤っているのはどれか」の答えはこの2になります。
✗ 1. 正しい記述(=答えではない)
嚥下障害がみられる。
食道は上部約1/3が横紋筋、下部約2/3が平滑筋でできています。強皮症ではこの平滑筋部分が線維化して蠕動運動が低下し、下部食道括約筋の締まりも悪くなるため、飲み込みにくさ・つかえ感や逆流性食道炎の症状が生じます。消化管病変のなかで食道は最も高頻度に侵される部位で、強皮症では起こりうる所見です。
✗ 3. 正しい記述(=答えではない)
手指の浮腫がみられる。
皮膚硬化に先立つ初期(浮腫期)には、指全体がぼってりと腫れる所見(いわゆるパフィーフィンガー)がみられます。レイノー現象とこの手指腫脹は早期診断の手がかりとして重視される所見で、強皮症で当然みられるものです。
✗ 4. 正しい記述(=答えではない)
喀痰を伴わない咳嗽がみられる。
強皮症では肺の間質が線維化する間質性肺疾患を高率に合併します。気道に痰がたまるタイプではなく肺胞壁が硬くなる病変なので、咳は痰を伴わない乾いた咳(乾性咳嗽)となり、労作時の息切れを伴います。強皮症の予後を左右する重要な内臓病変であり、みられて当然の所見です。
ポイント
  • 強皮症=血管障害+線維化。レイノー現象 → 手指の浮腫(浮腫期) → 皮膚硬化(硬化期)の順に進む。
  • 食道は下部2/3が平滑筋。ここが線維化して蠕動が落ちるので、嚥下障害・つかえ感・逆流性食道炎が出る。
  • 肺は間質性肺疾患。痰の出ない乾性咳嗽と労作時息切れ。腎クリーゼとともに予後を決める。
  • 顔は「硬い」で赤くない。仮面様顔貌・小口症が強皮症、蝶形紅斑はSLE、ヘリオトロープ疹・ゴットロン徴候は皮膚筋炎。
  • 自己抗体は抗Scl-70(抗トポイソメラーゼI)抗体=びまん皮膚硬化型、抗セントロメア抗体=限局皮膚硬化型と結びつく。
比較表
膠原病顔の所見手の所見特徴的な内臓病変
強皮症(全身性強皮症)仮面様顔貌・小口症(皮膚が硬い)レイノー現象、手指浮腫→皮膚硬化、指尖潰瘍食道蠕動低下、間質性肺疾患、腎クリーゼ
全身性エリテマトーデス(SLE)蝶形紅斑、光線過敏非びらん性関節炎、レイノー現象もありうるループス腎炎、漿膜炎、中枢神経ループス
皮膚筋炎ヘリオトロープ疹(上眼瞼の紫紅色紅斑)ゴットロン徴候(指関節伸側の紅斑)間質性肺炎、悪性腫瘍の合併
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