学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §3 病因 / QJ32A118

理由で解く 柔道整復師

QJ32A118 病理学概論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問118
問題
疾病と原因の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 川崎病一・大気汚染
2 水俣病 -有機水銀
3 珪肺症-石綿(アスベスト)
4 イタイイタイ病一ヒ素
解答
正解2(水俣病 -有機水銀)
解説

水俣病の原因は工場排水に含まれた有機水銀(メチル水銀)で、この組合せが正しい。ほかの3つは原因物質が入れ替わっている。

環境・職業由来の疾患は「原因物質 → 標的臓器 → 症状」の3点セットで覚えると混乱しない。四大公害病は、水俣病と新潟水俣病が有機水銀(中枢神経)、イタイイタイ病がカドミウム(腎尿細管から骨)、四日市ぜんそくが硫黄酸化物などの大気汚染(気道)である。水俣病では、化学工場の排水中のメチル水銀が魚介類に生物濃縮され、それを食べた住民の中枢神経、とくに小脳と後頭葉の視覚領が侵された。その結果、求心性視野狭窄、運動失調、構音障害、四肢末端の感覚障害、難聴といった特徴的な症状群を示す。粉塵による職業性肺疾患も同じ整理でよく、遊離ケイ酸を吸えば珪肺、石綿を吸えば石綿肺と胸膜中皮腫・肺癌となる。

✓ 2. 正しい
水俣病 -有機水銀
工場排水中のメチル水銀(有機水銀)が魚介類に生物濃縮され、これを摂取して発症した。有機水銀は脂溶性で血液脳関門を通過するため中枢神経が標的になり、求心性視野狭窄・運動失調・構音障害・感覚障害を主体とする症状群を示す。胎盤も通過するため胎児性水俣病が生じたことも重要である。
✗ 1. 誤り
川崎病一・大気汚染
川崎病は主に4歳以下の乳幼児に起こる全身の中小動脈の血管炎で、原因は現在も不明である。5日以上続く発熱、眼球結膜充血、口唇の紅潮とイチゴ舌、発疹、手足の硬性浮腫と膜様落屑、頸部リンパ節腫脹が主症状で、冠動脈瘤が最大の問題となる。大気汚染が原因とされる公害病は四日市ぜんそくである。
✗ 3. 誤り
珪肺症-石綿(アスベスト)
珪肺の原因は石綿ではなく遊離ケイ酸(シリカ)の粉塵で、採石・窯業・鋳物・トンネル工事などで吸入する。肺に珪肺結節ができて線維化し、結核を合併しやすい。石綿による疾患は石綿肺、悪性胸膜中皮腫、肺癌であり、潜伏期が数十年と長い点が特徴。
✗ 4. 誤り
イタイイタイ病 一ヒ素
イタイイタイ病の原因はヒ素ではなくカドミウムである。鉱山排水で汚染された神通川流域の水と米を介して摂取し、腎尿細管が障害されてリンやカルシウムを失い、骨軟化症・骨粗鬆症から多発骨折と激痛をきたした。ヒ素の慢性中毒は土呂久鉱害などで知られ、皮膚の色素沈着・角化、末梢神経障害、皮膚癌や肺癌をきたす。
ポイント
  • 水俣病・新潟水俣病=有機水銀(メチル水銀)。中枢神経障害(求心性視野狭窄・運動失調・構音障害・感覚障害)。
  • イタイイタイ病=カドミウム。腎尿細管障害 → 骨軟化症・多発骨折・激痛。
  • 四日市ぜんそく=硫黄酸化物などの大気汚染。気道が標的。
  • 珪肺=遊離ケイ酸(シリカ)。石綿=石綿肺・悪性胸膜中皮腫・肺癌。
  • 川崎病は乳幼児の原因不明の全身性血管炎。公害病ではなく、冠動脈瘤が問題となる。
比較表
疾患原因物質標的臓器主な症状
水俣病・新潟水俣病有機水銀(メチル水銀)中枢神経(小脳・後頭葉)求心性視野狭窄、運動失調、構音障害、感覚障害
イタイイタイ病カドミウム腎尿細管 → 骨骨軟化症、多発骨折、激痛
四日市ぜんそく硫黄酸化物(大気汚染)気道咳、喘鳴、呼吸困難
珪肺遊離ケイ酸(シリカ)粉塵珪肺結節、線維化、結核合併
石綿関連疾患石綿(アスベスト)肺・胸膜石綿肺、悪性胸膜中皮腫、肺癌
慢性ヒ素中毒ヒ素皮膚・末梢神経色素沈着、角化、皮膚癌・肺癌
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