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理由で解く 柔道整復師

QJ32A117 病理学概論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問117
問題
媒介動物名に由来する病名はどれか。
選択肢
1 ツツガムシ病
2 フィラリア症
3 アメーバ赤痢
4 アニサキス症
解答
正解1(ツツガムシ病)
解説

ツツガムシ病は、病気を運ぶ動物(ツツガムシ)の名前がそのまま病名になっている。ほかの3つは、いずれも病原体の名前に由来する病名である。

感染症の病名の付き方には、病原体の名前をとったもの、症状からきたもの、発見者名、地名、そして媒介動物(ベクター)名に由来するものがある。ツツガムシ病の病原体はOrientia tsutsugamushi(ツツガムシ病リケッチア)で、野山にいるツツガムシというダニの幼虫に刺されて経皮的に感染する。刺された部位に黒いかさぶた状の刺し口ができ、発熱と全身の発疹を伴うのが三徴で、日本各地で今も発生している。これに対し、フィラリア症・アメーバ赤痢・アニサキス症は、それぞれフィラリア(糸状虫)、赤痢アメーバ、アニサキスという病原体そのものの名前を病名にしている。「病名の中の言葉は、虫(病原体)か、それとも運び屋か」と問い直せば見分けられる。

✓ 1. 正しい
ツツガムシ病
ツツガムシは病原体ではなく媒介するダニの名前で、それが病名になっている。病原体はリケッチアの仲間であるOrientia tsutsugamushi。草むらでの作業やレジャーの後に、発熱・発疹があって体のどこかに黒い刺し口が見つかったら本症を疑い、早期に医療機関受診を勧める。
✗ 2. 誤り
フィラリア症
病名は寄生虫であるフィラリア(糸状虫)そのものに由来する。媒介するのは蚊であり、媒介動物名なら「蚊」に関する語が病名に入るはずである。リンパ管が閉塞して象皮病をきたすバンクロフト糸状虫が代表。
✗ 3. 誤り
アメーバ赤痢
病原体である赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)の名に由来する。感染経路は嚢子で汚染された水や食物を口にする糞口感染で、そもそも媒介動物を介さない。粘血便(イチゴゼリー状)や肝膿瘍をきたす。
✗ 4. 誤り
アニサキス症
病名は線虫アニサキスという病原体名に由来する。サバ・イワシ・イカなどの海産魚介類を生で食べて感染し、幼虫が胃壁に刺入して食後数時間で激しい心窩部痛を起こす。魚は幼虫を宿している宿主であって、病名を提供した「媒介動物」ではない。予防は十分な加熱か冷凍。
ポイント
  • ツツガムシ病=媒介動物(ダニの一種ツツガムシ)の名がついた病名。病原体はOrientia tsutsugamushi。
  • ツツガムシ病の三徴は発熱・発疹・刺し口(黒色の痂皮)。草むらでの活動歴が手がかり。
  • フィラリア症は蚊が媒介するが、病名は虫(糸状虫)に由来する。
  • アメーバ赤痢は媒介動物を介さない経口(糞口)感染。
  • アニサキス症は海産魚介の生食で起こり、病名は線虫名に由来する。
比較表
疾患病名の由来病原体感染経路
ツツガムシ病媒介動物名Orientia tsutsugamushi(リケッチア)ツツガムシ幼虫の刺咬(経皮)
フィラリア症病原体名糸状虫(バンクロフト糸状虫など)蚊が媒介
アメーバ赤痢病原体名赤痢アメーバ(原虫)汚染された水・食物(糞口感染)
アニサキス症病原体名アニサキス(線虫)海産魚介類の生食
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