学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §34 下腿骨骨幹部骨折の固定 / QJ32A035

理由で解く 柔道整復師

QJ32A035 必修問題

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問35
問題
下腿骨骨幹部骨折の固定で誤っているのはどれか。
選択肢
1 膝関節伸展位とする。
2 腓骨頭部に綿花をあてる。
3 反張位にならないように注意する。
4 末梢循環に注意する。
解答
正解1(膝関節伸展位とする。)
解説

これは「誤っているもの」を選ぶ設問です。下腿骨骨幹部骨折の固定は膝関節を軽度屈曲位とするのが原則で、「伸展位とする」という記述が誤りにあたります。

膝を伸展位にすると、大腿骨顆部から起こる腓腹筋が緊張して遠位骨片を後方へ引き、また前方凸の反張変形を助長しやすくなります。軽度屈曲位(およそ10〜20度)にすれば腓腹筋の緊張が緩んで整復位が保ちやすく、松葉杖歩行や座位といった日常動作にも無理がありません。加えて、下腿は骨が皮下に近く筋区画が閉じているため、腫脹によるコンパートメント症候群や、腓骨頭部での総腓骨神経麻痺が起こりやすい部位です。そのため固定では腓骨頭部の除圧と末梢循環・感覚の確認をセットで行い、しびれや強い疼痛を訴えたら直ちに固定を緩めて確認し、必要なら医師の診察につなげます。

✓ 1. 誤り(これが答え)
膝関節伸展位とする。
伸展位では腓腹筋が緊張して遠位骨片を後方へ引き、反張変形も生じやすくなります。固定は軽度屈曲位(10〜20度程度)とし、腓腹筋を緩めた状態で整復位を保ちます。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
腓骨頭部に綿花をあてる。
腓骨頭から腓骨頸にかけては総腓骨神経が骨に接して浅く走るため、圧迫で麻痺を起こしやすい部位です。綿花などで除圧しておくのは適切な配慮です。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
反張位にならないように注意する。
下腿骨骨幹部骨折は前方凸の反張変形や回旋・尖足変形を残しやすい骨折です。整復位を保ち、変形が生じていないか経過中も確認します。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
末梢循環に注意する。
下腿は筋区画が閉じており、腫脹によるコンパートメント症候群のリスクがあります。足趾の色調・温度・感覚・疼痛の増悪を定期的に確認し、異常があれば直ちに固定を緩めて対応します。
ポイント
  • 設問は否定形。膝関節の固定肢位が判定の分かれ目。
  • 固定は膝軽度屈曲位(10〜20度程度)。腓腹筋を緩めて整復位を保つ。
  • 残しやすい変形は反張(前方凸)・回旋・尖足。整復位の維持を確認し続ける。
  • 腓骨頭部は総腓骨神経麻痺の好発部位。綿花などで必ず除圧する。
  • コンパートメント症候群に注意。強い疼痛・しびれ・足趾の色調変化があれば直ちに固定を緩め、医師へつなぐ。
比較表
確認項目適切な対応不適切な場合に生じる問題
膝関節の固定肢位軽度屈曲位(10〜20度程度)伸展位では腓腹筋が緊張して遠位骨片を後方へ引き、反張変形を助長する
腓骨頭部の処置綿花などをあてて除圧する圧迫が集中すると総腓骨神経麻痺(足背のしびれ→下垂足)を生じる
注意する変形反張(前方凸)・回旋・尖足がないか経過中も確認変形治癒により歩行時痛や機能障害を残す
末梢循環・感覚足趾の色調・温度・感覚と疼痛の増悪を定期的に確認コンパートメント症候群の発見が遅れ、阻血性拘縮に至る
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