学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §24 上腕二頭筋長頭腱損傷の診察 / QJ32A025

理由で解く 柔道整復師

QJ32A025 必修問題

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問25
問題
上腕二頭筋長頭腱の断裂で誤っているのはどれか。
選択肢
1 腱の変性で発生頻度は高くなる。
2 外旋運動で発生する。
3 大結節との摩擦が関与する。
4 筋腹の膨隆が遠位に移動する。
解答
正解3(大結節との摩擦が関与する。)
解説

これは「誤っているもの」を選ぶ設問です。上腕二頭筋長頭腱が摩擦を受けるのは結節間溝と小結節側であり、「大結節との摩擦」という記述が誤りにあたります。

長頭腱は肩甲骨の関節上結節から起こり、関節内を通って結節間溝に入り、上腕横靱帯で溝の中に押さえられています。肩を動かすたびに腱は溝の中を往復するため、溝の縁や小結節側とこすれて摩耗が進みます。中高年では加齢による腱の変性が加わり、重い物を持ち上げた、肩を強く外旋したといった比較的軽い外力でも断裂します。断裂すると腱の近位側の支持を失った筋腹が遠位へ下がり、力こぶが肘寄りに膨隆する「ポパイ変形」が現れます。なお大結節に付くのは棘上筋・棘下筋・小円筋で、長頭腱ではありません。

✓ 3. 誤り(これが答え)
大結節との摩擦が関与する。
長頭腱が接するのは結節間溝と、その内側壁をつくる小結節側です。大結節は棘上筋・棘下筋・小円筋の停止部であり、長頭腱の摩擦部位ではありません。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
腱の変性で発生頻度は高くなる。
加齢と長年の摩擦で腱が変性すると強度が落ち、断裂は中高年に多くなります。変性が下地にあるため、外力自体は大きくないことも珍しくありません。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
外旋運動で発生する。
肩の外転・外旋では腱が溝の中を大きく移動し摩擦が強まるため、この動きが断裂の契機になります。投球動作など外旋を繰り返す競技でリスクが高まります。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
筋腹の膨隆が遠位に移動する。
近位側の支えを失った筋腹が下方へずり落ち、力こぶが肘に近づいて見えます。これがポパイ変形(ポパイサイン)で、視診だけで気づける典型所見です。
ポイント
  • 設問は否定形。「長頭腱の摩擦部位はどこか」が判定の分かれ目。
  • 長頭腱は関節上結節から起こり、関節内を通って結節間溝へ入る。摩擦を受けるのは溝と小結節側。
  • 大結節に付くのは棘上筋・棘下筋・小円筋。小結節に付くのは肩甲下筋。
  • 加齢による腱の変性が最大の背景。軽い外力でも断裂しうる。
  • 断裂の視診所見はポパイ変形(筋腹の膨隆が遠位へ移動)。屈曲力の低下は比較的軽い。
比較表
部位付着・通過する構造
大結節棘上筋・棘下筋・小円筋の停止
小結節肩甲下筋の停止
結節間溝上腕二頭筋長頭腱が通過(上腕横靱帯が蓋をする)
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