学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §21 肘内障の診察および整復 / QJ32A021

理由で解く 柔道整復師

QJ32A021 必修問題

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問21
問題
肘内障で正しいのはどれか。
選択肢
1 腫脹が著明である。
2 前腕は回内している。
3 橈骨頭が前方転位している。
4 肘外側に皮下出血がみられる。
解答
正解2(前腕は回内している。)
解説

肘内障は、幼小児の橈骨頭が輪状靱帯から一時的に外れた(亜脱臼した)状態です。肘軽度屈曲・前腕回内位で上肢を下垂したまま動かさないのが典型像で、腫脹・皮下出血・変形はほとんど目立ちません。

2〜6歳ごろの橈骨頭はまだ丸みに乏しく輪状靱帯も緩いため、手を強く引かれると輪状靱帯が橈骨頭を乗り越えて関節裂隙に滑り込みます。関節包や靱帯が大きく破綻するわけではないので、関節内出血や滑膜の強い炎症は起こらず、外見は健側とほぼ変わりません。だからこそ「見た目がほぼ正常なのに腕を使わない」ことが最大のヒントになります。逆に著明な腫脹・皮下出血・明らかな変形があるときは肘内障らしくないサインで、上腕骨顆上骨折や外側顆骨折、肘関節脱臼などを念頭に医師の診察へつなぎます。とくに肘関節後方脱臼では、肘頭が後方へ突出し、他動的に動かそうとしても弾力的に戻る弾発性固定を示す点が肘内障との大きな違いです。

✓ 2. 正しい
前腕は回内している。
手を引かれた受傷肢位がそのまま残るため、肘軽度屈曲・前腕回内・上肢下垂という姿勢をとります。回外させようとすると痛がるので、この肢位そのものが診断の手がかりになります。
✗ 1. 誤り
腫脹が著明である。
輪状靱帯からの逸脱にとどまり関節内出血を伴わないため、腫脹はほとんど認めません。著明な腫脹があれば骨折を疑い、画像診断のできる医療機関へ紹介します。
✗ 3. 誤り
橈骨頭が前方転位している。
橈骨頭と輪状靱帯の位置関係がずれるだけで、脱臼といえるほどの前方転位は起こりません。橈骨頭が明らかに前方へ転位するのはモンテギア骨折など別の外傷で、そちらは変形と強い腫脹を伴います。
✗ 4. 誤り
肘外側に皮下出血がみられる。
血管を巻き込むような組織損傷がないため皮下出血は生じません。皮下出血を認めた場合は肘内障と決めつけず、骨折・脱臼を想定して対応します。
ポイント
  • 好発は2〜6歳。手を急に引っ張られて発生する(牽引による橈骨頭の亜脱臼)。
  • 典型肢位は「肘軽度屈曲・前腕回内・上肢下垂」。自分から腕を使わない。
  • 腫脹・皮下出血・変形は目立たない。あるときは骨折を疑うサインとして扱う。
  • 肘関節後方脱臼は弾発性固定・肘頭の後方突出・ヒューター三角の乱れ。肘内障との鑑別点。
  • 関節包や靱帯の破綻ではないため、整復後は短時間で自発的に腕を使い始める。
  • 整復は前腕回外+肘屈曲などで行い、整復後に上肢の使用状況を必ず確認する。
比較表
所見肘内障上腕骨顆上骨折・肘関節脱臼
年齢2〜6歳中心学童期以降にも多い
受傷機転手を引かれる(牽引)転倒・手をついた(強い外力)
腫脹ほとんどない著明
皮下出血なしあり(時間経過とともに顕在化)
変形なしあり(肘頭の後方突出、ヒューター三角の乱れ)
肢位肘軽度屈曲・前腕回内・上肢下垂脱臼:肘軽度屈曲位での弾発性固定(他動運動に抵抗し元に戻る)/顆上骨折:疼痛のため自動運動が不能
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