学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §17 肩関節烏口下脱臼の診察および整復 / QJ32A018

理由で解く 柔道整復師

QJ32A018 必修問題

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問18
問題
肩関節烏口下脱臼の合併症と症状の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 大結節骨折-肩関節後方の圧痛
2 筋皮神経麻痺-前腕内側の感覚障害
3 腋窩動脈損傷-爪部の蒼白
4 肩腱板損傷-肩関節の伸展運動不能
解答
正解3(腋窩動脈損傷-爪部の蒼白)
解説

腋窩動脈が損傷されると末梢の血流が落ち、手指や爪部が蒼白になります。他の3つは、合併症と症状の組合せが解剖学的に一致していません。

肩関節烏口下脱臼は前方脱臼の代表で、骨頭が烏口突起の下に転位します。腋窩部には腋窩神経・筋皮神経・正中神経などの神経と腋窩動脈が密集して走るため、転位した骨頭に圧迫・牽引されて損傷が起こりえます。合併症を見抜くには「その神経・血管がどこを支配しているか」を思い出し、症状と結びつけるのが確実です。腋窩動脈が損傷・圧迫されれば上肢全体の血流が低下し、橈骨動脈の拍動が弱くなる、手指や爪床が蒼白になる、冷感が出るという末梢循環障害の所見が現れます。整復操作の前と後の両方で、末梢の脈拍・色調・感覚・運動を必ず確認し、記録に残します。異常があれば整復を急ぐより先に医師へ紹介するのが安全です。

✓ 3. 正しい
腋窩動脈損傷-爪部の蒼白
腋窩動脈は上肢へ向かう主幹動脈なので、損傷・圧迫されると末梢の血流が落ちて手指や爪床が蒼白になり、冷感を伴い、橈骨動脈の拍動が減弱・消失します。組合せとして正しい記述です。
✗ 1. 誤り
大結節骨折-肩関節後方の圧痛
大結節は上腕骨近位の外側にあり、骨折すれば肩関節の外側(肩峰の下あたり)に圧痛が出ます。後方ではありません。棘上筋などが付着するため外転が困難になります。
✗ 2. 誤り
筋皮神経麻痺-前腕内側の感覚障害
筋皮神経の皮枝(外側前腕皮神経)が担当するのは前腕の外側(橈側)です。前腕内側は内側前腕皮神経の領域になります。筋皮神経麻痺では上腕二頭筋・上腕筋が働かず、肘屈曲力の低下も伴います。
✗ 4. 誤り
肩腱板損傷-肩関節の伸展運動不能
腱板(とくに棘上筋)が損傷されて障害されるのは主に外転です。伸展ではありません。高齢者の脱臼では腱板断裂の合併が多いため、整復後に外転力が戻らない場合は疑って医師へ紹介します。
ポイント
  • 烏口下脱臼=前方脱臼の代表。骨頭が烏口突起の下へ転位する。
  • 腋窩動脈損傷 → 橈骨動脈拍動の減弱・消失、手指と爪床の蒼白、冷感。
  • 腋窩神経麻痺 → 肩外側の感覚障害+三角筋麻痺(外転困難)。最も頻度の高い神経合併症。
  • 筋皮神経麻痺 → 前腕外側の感覚障害+肘屈曲力低下。「内側」は内側前腕皮神経の領域。
  • 整復の前後で必ず末梢の脈拍・色調・感覚・運動を確認し記録する。異常時は医師へ紹介。
比較表
合併症主な症状
腋窩動脈損傷橈骨動脈拍動の減弱・消失、手指・爪床の蒼白、冷感
腋窩神経麻痺肩外側(三角筋部)の感覚障害、三角筋麻痺で外転困難
筋皮神経麻痺前腕外側の感覚障害、肘屈曲力の低下
大結節骨折肩関節外側の圧痛、外転困難
腱板損傷外転運動の障害(高齢者に多い)
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