学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ31P115

理由で解く 柔道整復師

QJ31P115 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問115
問題
41歳の男性。ソフトボールの試合中に遠投した際、右肩に鋭い痛みを感じて負傷退場した。氷で冷やし安静にしていたところ痛みは緩和したが、また痛みが増してきたので翌日来所した。肩部の腫脹はみられないが肩峰下部に圧痛がみられ、肩関節外転が制限されている。陽性となる検査法はどれか。
選択肢
1 ライトテスト
2 サルカスサイン
3 ヤーガソンテスト
4 ドロップアームサイン
解答
正解4(ドロップアームサイン)
解説

遠投の一投で鋭い痛みが走り、肩峰下部の圧痛と外転制限がある。腱板(棘上筋腱)の断裂を疑う場面で、棘上筋の脱落を示すドロップアームサインが陽性となる。

腱板のうち棘上筋腱は肩峰の下を通り、外転の初期に上腕骨頭を関節窩に引きつけながら挙上を開始させる働きをもつ。断裂すると自力での外転開始・保持ができなくなり、他動的に90度以上外転させた上肢を離すと支えきれずに落下する(ドロップアームサイン)。腱は肩峰下滑液包の直下にあるため圧痛は肩峰の前外側下方に出て、関節内の損傷であることから外表の腫脹は乏しい。本例のように受傷直後にいったん痛みが軽減し、時間をおいて痛みと機能障害がぶり返す経過も腱板損傷でよくみられる。徒手検査は一つで断定せず、有痛弧徴候やインピンジメント徴候も併用し、肩の挙上障害が続くときは画像評価につなぐ。

✓ 4. これが答え
ドロップアームサイン
他動的に外転位まで挙げた上肢を保持できずに落下する所見で、棘上筋を中心とした腱板断裂を示す。肩峰下部の圧痛と外転制限という本例の所見に一致し、受傷機転(遠投時の急激な負荷)とも合う。
✗ 1. 答えではない
ライトテスト
肩を過外転させて橈骨動脈の拍動減弱や上肢のしびれをみる、胸郭出口症候群(過外転症候群)の検査。腱板の状態は評価できず、本例の局所所見とも結びつかない。
✗ 2. 答えではない
サルカスサイン
上腕を下方に牽引したとき肩峰下に溝(サルカス)が生じる所見で、肩関節の下方不安定性(動揺肩)を示す。急性の腱板断裂を示す検査ではない。
✗ 3. 答えではない
ヤーガソンテスト
肘屈曲位で前腕回外に抵抗を加え、結節間溝部の疼痛をみる上腕二頭筋長頭腱の検査。痛む場所が結節間溝であり、本例の肩峰下部の圧痛とは部位が異なる。
ポイント
  • 腱板断裂は棘上筋腱に最も多い。肩峰下部の圧痛と、外転の開始・保持ができないことが特徴。
  • ドロップアームサイン陽性=他動的に挙げた上肢を保持できず落下する。
  • 有痛弧徴候(外転60〜120度で疼痛)やインピンジメント徴候も併せて確認する。
  • 関節内の損傷なので腫脹は乏しく、いったん痛みが引いてから再燃する経過をとりやすい。
  • 徒手検査名は「どの組織を見ているか」とセットで覚えると混同しない。
比較表
検査法陽性で疑う病態見ている組織
ドロップアームサイン腱板断裂棘上筋腱を中心とした腱板
ヤーガソンテスト上腕二頭筋長頭腱炎長頭腱・結節間溝
サルカスサイン肩関節下方不安定性(動揺肩)関節包・上関節上腕靱帯
ライトテスト胸郭出口症候群(過外転症候群)小胸筋下の神経血管束
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