学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ31P114

理由で解く 柔道整復師

QJ31P114 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問114
問題
25歳の男性。右下肢痛を訴えて来所した。下腿外側から足背にかけて感覚異常があり、長母趾伸筋の筋力低下がみられた。股関節内転・内旋で症状が増悪した。考えられるのはどれか。
選択肢
1 腰椎分離症
2 梨状筋症候群
3 腰部脊柱管狭窄症
4 腰部椎間板ヘルニア
解答
正解2(梨状筋症候群)
解説

L5領域(下腿外側〜足背の感覚異常、長母趾伸筋の筋力低下)の症状が、股関節の内転・内旋で強くなる。これは梨状筋が伸ばされる肢位で坐骨神経が締めつけられていることを示し、梨状筋症候群を考える。

梨状筋は仙骨前面から大坐骨孔を通って大転子に付く股関節外旋筋で、坐骨神経はその下を(一部の人では貫通して)走行する。股関節を内転・内旋させると梨状筋が引き伸ばされて坐骨神経を圧迫するため症状が増悪し、逆に外旋に抵抗を加えて梨状筋を収縮させても内圧が上がって症状が出る。この両方向で誘発される点が梨状筋症候群の特徴である。坐骨神経のうち総腓骨神経成分が影響を受けやすいため、下腿外側から足背のしびれと長母趾伸筋(L5)の筋力低下という形で現れる。同じL5症状は腰椎椎間板ヘルニアでも生じるので、「どの動作で症状が変わるか」を対比して切り分ける。前屈・咳・くしゃみ・SLRで増悪すれば椎間板由来、股関節の肢位で変わるなら梨状筋部での絞扼と読む。

✓ 2. これが答え
梨状筋症候群
股関節の内転・内旋で梨状筋が伸張され、その下を走る坐骨神経が圧迫されて症状が増悪する(フライバーグ徴候の考え方)。臀部から下肢への放散痛としびれ、腓骨神経成分優位のL5症状というパターンにも合致する。
✗ 1. 答えではない
腰椎分離症
成長期のスポーツ選手に多い腰椎椎弓の疲労骨折で、腰椎の伸展・回旋による腰痛が主症状。神経根症状を伴わないことが多く、股関節肢位での増悪という所見も説明できない。
✗ 3. 答えではない
腰部脊柱管狭窄症
中高年に多く、間欠跛行が特徴で、腰椎伸展位で増悪し前屈で軽快する。25歳という年齢、そして股関節の内転・内旋で増悪するという所見のいずれとも合わない。
✗ 4. 答えではない
腰部椎間板ヘルニア
L4/5レベルであればL5症状という点は一致するが、増悪因子は体幹前屈・咳・くしゃみ・いきみであり、SLRテストが陽性となるのが典型。股関節の内転・内旋で増悪する点は梨状筋の伸張を示しており、こちらでは説明しにくい。
ポイント
  • 梨状筋症候群=梨状筋部での坐骨神経絞扼。臀部痛と下肢への放散痛・しびれを生じる。
  • 誘発は股関節の内転・内旋(梨状筋の伸張)と外旋抵抗(梨状筋の収縮)の両方向で起こる。
  • L5症状は下腿外側〜足背の感覚障害と、長母趾伸筋・前脛骨筋の筋力低下。
  • 椎間板ヘルニアとの切り分けは「増悪する動作」。前屈・咳・SLRならヘルニア、股関節肢位なら梨状筋。
  • 筋力低下が進行する、膀胱直腸障害があるといった場合は速やかに医科へつなぐ。
比較表
項目梨状筋症候群腰部椎間板ヘルニア
増悪因子股関節の内転・内旋、長時間の坐位体幹前屈、咳・くしゃみ、いきみ
圧痛部位臀部(梨状筋部)腰部・傍脊柱部
SLRテスト陽性のこともあるが主体ではない陽性
誘発テストフライバーグ徴候、ペースサインSLR、ブラガード
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