学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ31P104

理由で解く 柔道整復師

QJ31P104 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問104
問題
9歳の男児。公園の遊具からジャンプし、着地に失敗して手を衝いて転倒した。自宅に帰ったところ、肘から前腕にかけて腫れてきたので来所した。尺骨骨幹部に著明な圧痛がみられ、肘の屈伸運動は可能であったが、前腕の回内回外はできなかった。考えられるのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 橈骨頭脱臼
2 橈骨骨幹部骨折
3 尺骨頭脱臼
4 尺骨骨幹部骨折
解答
正解1(橈骨頭脱臼)、4(尺骨骨幹部骨折)
解説

尺骨骨幹部に圧痛があり、肘の屈伸はできるのに回内回外ができない。尺骨骨幹部骨折に橈骨頭脱臼を伴うモンテギア骨折を考える場面である。

前腕は橈骨と尺骨が近位・遠位橈尺関節と骨間膜で連結された輪のような構造をしている。この輪の一方が折れて短縮・屈曲すると、もう一方は関節で外れるしかない。尺骨骨幹部が折れれば近位橈尺関節が破綻して橈骨頭が脱臼し(モンテギア骨折)、橈骨骨幹部が折れれば遠位橈尺関節が破綻して尺骨頭が脱臼する(ガレアッチ骨折)。回内回外は橈骨が尺骨のまわりを回る運動なので、この関係が壊れると回内回外が強く障害される一方、腕尺関節が保たれていれば肘の屈伸は可能である。小児では橈骨頭脱臼が見落とされやすいため、尺骨骨折を見つけたら肘関節まで含めて評価してもらうよう医療機関に情報を伝える。

✓ 1. 正しい
橈骨頭脱臼
尺骨骨幹部骨折に伴って近位橈尺関節が破綻し、橈骨頭が脱臼する(モンテギア骨折)。回内回外が不能となる主因であり、肘外側の橈骨頭部にも圧痛や変形をみることが多い。
✗ 2. 誤り
橈骨骨幹部骨折
橈骨骨幹部骨折であれば圧痛は前腕橈側に出るはずだが、本症例の著明な圧痛は尺骨骨幹部にあり部位が一致しない。橈骨骨幹部骨折+尺骨頭脱臼の組合せはガレアッチ骨折で、遠位橈尺関節部の症状が中心となる。
✗ 3. 誤り
尺骨頭脱臼
尺骨頭(遠位端)の脱臼は手関節部の変形・突出として現れ、ガレアッチ骨折の構成要素である。本症例は肘から前腕にかけての腫脹であり、遠位橈尺関節部の所見は示されていない。
✓ 4. 正しい
尺骨骨幹部骨折
尺骨骨幹部に著明な圧痛があることから直接示唆される。尺骨が短縮・屈曲すると近位橈尺関節が耐えられず橈骨頭が脱臼するため、尺骨骨折を認めたら必ず肘関節も評価する。
ポイント
  • モンテギア骨折=尺骨骨幹部骨折+橈骨頭脱臼。ガレアッチ骨折=橈骨骨幹部骨折+尺骨頭脱臼。
  • 覚え方は「折れた骨と反対側の骨の端が外れる」。
  • 前腕は輪構造。一方が短縮すれば他方は関節で逃げるしかない。
  • 回内回外は橈骨が尺骨のまわりを回る運動。橈尺関節が壊れると回内外不能、腕尺関節が無事なら肘屈伸は可能。
  • 小児では橈骨頭脱臼が見落とされやすい。尺骨骨折を見たら肘まで含めた画像評価につなげる。
比較表
項目モンテギア骨折ガレアッチ骨折
骨折する骨尺骨骨幹部橈骨骨幹部
脱臼する関節近位橈尺関節(橈骨頭脱臼)遠位橈尺関節(尺骨頭脱臼)
症状の中心肘外側の変形・圧痛手関節部の変形・突出
共通する所見前腕の回内回外が強く制限される
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