学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ31P098

理由で解く 柔道整復師

QJ31P098 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問98
問題
絞扼部位と神経の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 クアドリラテラルスペース ー腋窩神経
2 上腕骨骨幹部正中神経
3 フローセの腱弓尺骨神経
4 ギヨン管-橈骨神経
解答
正解1(クアドリラテラルスペース ー腋窩神経)
解説

クアドリラテラルスペース(四辺形間隙)を通るのは腋窩神経であり、組合せとして正しいのは1である。他の3つはいずれも通り道と神経の対応が入れ替わっている。

絞扼性神経障害の問題は、「どのトンネルを、どの神経が通るか」を解剖の位置関係とセットで覚えると確実になる。四辺形間隙は、上を小円筋、下を大円筋、内側を上腕三頭筋長頭、外側を上腕骨外科頸で囲まれた隙間で、腋窩神経と後上腕回旋動脈が後方へ抜ける。肩関節前方脱臼や上腕骨外科頸骨折で腋窩神経が損傷されるのも、この走行が骨に密着しているためである。上腕骨骨幹部の後面には橈骨神経溝があり橈骨神経が走る。フローセの腱弓は回外筋浅頭の入口にある腱性のアーチで、ここを橈骨神経深枝が貫いて後骨間神経となる。ギヨン管(尺骨神経管)は手関節掌側尺側にあり尺骨神経が通る。しびれや筋力低下が続く例では、自己判断で経過をみずに医療機関での神経学的評価につなぐ。

✓ 1. 正しい
クアドリラテラルスペース ー腋窩神経
四辺形間隙は小円筋・大円筋・上腕三頭筋長頭・上腕骨外科頸で囲まれ、腋窩神経と後上腕回旋動脈が通過する。投球動作の繰り返しなどでここが狭くなると、肩後外側の痛みと三角筋部の感覚障害・三角筋の筋力低下をきたす(クアドリラテラルスペース症候群)。
✗ 2. 誤り
上腕骨骨幹部正中神経
上腕骨骨幹部の後面を螺旋状に走る橈骨神経溝を通るのは橈骨神経である。したがって上腕骨骨幹部(とくに中央から遠位1/3)の骨折では橈骨神経麻痺(下垂手)が起こりやすい。正中神経は上腕では内側の上腕動脈に伴走し、骨に密着して走るわけではない。
✗ 3. 誤り
フローセの腱弓尺骨神経
フローセの腱弓は回外筋浅頭の近位縁にある腱性アーチで、ここを通るのは橈骨神経深枝(後骨間神経)である。絞扼されると、感覚障害を伴わずに手指MP関節の伸展ができない下垂指を呈する。尺骨神経が通るのは肘部管とギヨン管である。
✗ 4. 誤り
ギヨン管-橈骨神経
ギヨン管は尺骨神経管とも呼ばれ、豆状骨と有鉤骨鉤の間を尺骨神経が通る。橈骨神経は手関節では背側・橈側の浅枝として皮下を走り、ギヨン管とは無関係である。名称のとおり「尺骨神経管=尺骨神経」と結びつけて覚える。
ポイント
  • 四辺形間隙(小円筋・大円筋・上腕三頭筋長頭・上腕骨外科頸)=腋窩神経+後上腕回旋動脈。
  • 上腕骨骨幹部後面の橈骨神経溝=橈骨神経。骨幹部骨折で下垂手。
  • フローセの腱弓(回外筋入口)=橈骨神経深枝(後骨間神経)。感覚障害を伴わない下垂指。
  • ギヨン管(尺骨神経管)=尺骨神経。名称と神経が一致する。
  • 肘部管=尺骨神経、手根管=正中神経、足根管=脛骨神経も同じ枠組みで整理する。
比較表
絞扼部位通る神経主な症状
クアドリラテラルスペース腋窩神経肩後外側痛、三角筋部の感覚障害・筋力低下
上腕骨骨幹部(橈骨神経溝)橈骨神経下垂手、手背橈側の感覚障害
フローセの腱弓橈骨神経深枝(後骨間神経)下垂指(MP伸展不能)、感覚障害なし
ギヨン管尺骨神経手掌尺側の感覚障害、手内在筋の筋力低下
肘部管尺骨神経手掌・手背とも尺側の感覚障害+手内在筋障害
手根管正中神経母指〜環指橈側掌側のしびれ、母指球萎縮
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