学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 一般臨床医学 ▸ §21 臨床実地問題 / QJ31P044
理由で解く 柔道整復師
動悸・手の震えに加えて、頻脈・頸部(甲状腺)の腫大・眼球突出がそろっており、甲状腺ホルモンが過剰に働いている状態と読み取れます。しゃがんだ姿勢から手すりなしで立ち上がれないのも、甲状腺中毒に伴う近位筋の筋力低下として一続きに説明できます。
バセドウ病では、TSH受容体に対する自己抗体(TRAb)が受容体を刺激し続けるため、下垂体からのTSHが抑えられていても甲状腺ホルモンがつくられ続けます。過剰な甲状腺ホルモンは全身の代謝を高め、心臓では交感神経(β受容体)の効きをよくするので、動悸・頻脈・細かく速い手指の震えが現れます。眼球突出は、眼窩の脂肪組織や外眼筋に自己免疫性の炎症が起きて容積が増すために生じるもので、甲状腺腫・眼球突出・頻脈の3つはメルゼブルクの三徴と呼ばれます。さらに骨格筋ではタンパクの分解が進み、体幹に近い近位筋(腸腰筋・大腿四頭筋など)から筋力が落ちるため、「しゃがむと立ち上がれない」「階段が上れない」「髪を洗う姿勢がつらい」といった訴えになります。20〜40歳代の女性に多い点も、本例の年齢・性別と矛盾しません。
| 項目 | バセドウ病 | 橋本病(慢性甲状腺炎) |
|---|---|---|
| 甲状腺機能 | 亢進 | 正常〜低下(経過中に一過性の亢進をみることもある) |
| 主な機序 | TSH受容体抗体(TRAb)による受容体の持続刺激 | リンパ球浸潤による甲状腺組織の破壊 |
| 脈拍・体温感覚 | 頻脈、暑がり、発汗増加 | 徐脈、寒がり |
| 体重・食欲 | 食べても体重減少 | 体重増加、食欲低下 |
| 精神・活動性 | いらいら、落ち着かない、不眠 | 意欲低下、動作緩慢、眠気 |
| 眼球突出 | みられる | 原則みられない |
| 筋症状 | 近位筋優位の筋力低下(立ち上がり困難) | 筋のこわばり、易疲労感 |
| 好発 | 20〜40歳代の女性 | 30〜50歳代の女性 |
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