学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §13 主要な疾患 呼吸器疾患 / QJ31P034

理由で解く 柔道整復師

QJ31P034 一般臨床医学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問34
問題
慢性閉塞性肺疾患(COPD)で正しいのはどれか。
選択肢
1 呼気が延長する。
2 漏斗胸を呈する。
3 肺肝境界が上昇する。
4 肺野の打診で濁音を呈する。
解答
正解1(呼気が延長する。)
解説

COPDは末梢気道の狭窄と肺胞の破壊によって「息を吐き出しにくくなる」病気です。したがって呼気の延長が起こり、正しいのは1です。

主な原因は喫煙で、慢性気管支炎と肺気腫の像が混ざった状態です。呼気時は胸腔内圧が上がって気道が押しつぶされやすく、支えを失った末梢気道は虚脱して空気が肺に閉じ込められます(エアトラッピング)。その結果、残気量と機能的残気量が増えて肺は過膨張し、胸郭は前後径の増した樽状胸郭に、横隔膜は平低化します。含気が増えるので打診は過共鳴音(鼓音)となり、肺の下縁が押し下げられて肺肝境界は下降します。聴診では呼吸音の減弱と呼気の延長、笛様音を聴取します。患者は呼気時に気道内圧を保って虚脱を防ぐため、自然と口すぼめ呼吸をとるようになります。誤りの3つは、いずれも「肺が膨らんでいる」という一点から逆向きに導けるので、所見を丸暗記せず病態から引き出してください。

✓ 1. 正しい
呼気が延長する。
末梢気道の狭窄と虚脱で吐き出しに時間がかかるため、呼気時間が延びます。1秒率の低下(70%未満)という診断基準もこの病態を数値化したものです。
✗ 2. 誤り
漏斗胸を呈する。
漏斗胸は胸骨が陥凹する先天性の胸郭変形で、COPDとは無関係です。COPDで現れるのは前後径が増した樽状胸郭です。
✗ 3. 誤り
肺肝境界が上昇する。
肺の過膨張で下縁が押し下げられるため、肺肝境界はむしろ下降します。横隔膜の平低化と同じ理由です。
✗ 4. 誤り
肺野の打診で濁音を呈する。
含気が増えているので過共鳴音(鼓音)になります。濁音は胸水・無気肺・肺炎など含気が減る病態でみられる所見です。
ポイント
  • COPDの本質は呼気の障害。末梢気道の虚脱で空気が閉じ込められ、肺が過膨張する。
  • 身体所見は呼気延長・口すぼめ呼吸・樽状胸郭・横隔膜平低化・打診で過共鳴音・肺肝境界の下降・呼吸音減弱
  • 診断は気管支拡張薬吸入後の1秒率70%未満。最大の原因は喫煙で、禁煙が治療の第一歩。
  • 漏斗胸は先天性の胸郭変形でCOPDとは別。名前の似た所見に引っ張られない。
  • 濁音は含気が減る病態(胸水・肺炎・無気肺)の所見。COPDとは逆向き。
比較表
所見COPD理由
呼気時間延長末梢気道の狭窄・虚脱で吐き出しにくい
胸郭の形樽状胸郭過膨張で前後径が増す(漏斗胸ではない)
肺肝境界下降肺下縁が押し下げられる
打診音過共鳴音(鼓音)含気量の増加(濁音は含気減少時)
呼吸のしかた口すぼめ呼吸気道内圧を保って虚脱を防ぐ
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