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理由で解く 柔道整復師

QJ31P032 一般臨床医学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問32
問題
肝細胞癌の原因とならないのはどれか。
選択肢
1 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
2 A型肝炎
3 B型肝炎
4 C型肝炎
解答
正解2(A型肝炎)
解説

肝細胞癌の多くは、慢性肝炎から肝硬変へと進む長い炎症の道すじの先に発生します。A型肝炎は慢性化しないため、その母地になりません。

肝細胞癌は、持続する炎症と細胞の再生が何度も繰り返される過程で遺伝子変異が蓄積して生じます。したがって「慢性化するかどうか」が発癌リスクの分かれ目です。かつては原因の大半をC型肝炎ウイルスが占めていましたが、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の普及でC型の比率は下がり、B型肝炎に加えて、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)やアルコール性肝障害を背景とする非B非C型の割合が増えています。A型肝炎ウイルスは糞口(経口)感染で急性肝炎を起こしますが、キャリア化・慢性化せずに治癒するため、慢性炎症の土台ができません。一方B型肝炎は、慢性化するうえにウイルスDNAが肝細胞のゲノムに組み込まれるため、肝硬変に至っていない段階でも発癌しうる点が特徴です。

✗ 1. 原因となる(答えではない)
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
脂肪肝に炎症と線維化が加わった状態で、肝硬変から肝細胞癌へ進みます。肥満・2型糖尿病・脂質異常症を背景に増加しており、飲酒歴のない発癌例の重要な原因です。
✓ 2. これが答え(原因とならない)
A型肝炎
A型肝炎ウイルスは糞口感染により急性肝炎を起こしますが、持続感染(キャリア化)せず慢性化しません。まれに劇症化することはあっても、慢性炎症→肝硬変という発癌の母地を作らないため、肝細胞癌の原因にはなりません。
✗ 3. 原因となる(答えではない)
B型肝炎
血液・体液を介して感染し、とくに乳幼児期の感染では慢性化しやすい肝炎です。ウイルスDNAが宿主の肝細胞ゲノムに組み込まれるため、肝硬変を経ずに発癌することもあります。
✗ 4. 原因となる(答えではない)
C型肝炎
血液を介して感染し、慢性化率が高いのが特徴です。20〜30年かけて慢性肝炎から肝硬変へ進み、肝細胞癌に至る代表的な原因でした。抗ウイルス薬の進歩により、近年は原因に占める割合が低下しています。
ポイント
  • 肝細胞癌の発生は「慢性炎症→線維化→肝硬変→癌」の道すじが基本
  • A型肝炎は糞口感染の急性肝炎で慢性化しない=発癌の母地にならない
  • B型は慢性化+ウイルスDNAの組み込みで、肝硬変を経ずに発癌しうる
  • C型は慢性化率が高く、長期経過で肝硬変・肝細胞癌へ
  • 近年はNASHやアルコール性を背景とする非B非C型の割合が増加
比較表
A型肝炎B型肝炎C型肝炎
ウイルス核酸RNADNARNA
感染経路糞口(経口・生水・生ガキ)血液・体液・母子感染血液
慢性化しないする(乳幼児期感染で高率)高率にする
肝細胞癌原因とならない原因となる(肝硬変を経ずに発癌も)原因となる
ワクチンありありなし
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