学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §5 診察各論 聴診 / QJ31P029

理由で解く 柔道整復師

QJ31P029 一般臨床医学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問29
問題
健常者で聴取されない心音はどれか。
選択肢
1 I. 音
2 II 音
3 Ⅲ音
4 IV 音
解答
正解4(IV 音)
解説

I音・II音は健常者で必ず聴取され、III音も若年者では生理的に聴かれうるが、IV音は常に病的である。正答は4。

I音は房室弁(僧帽弁・三尖弁)の閉鎖で生じ収縮期の始まりを、II音は半月弁(大動脈弁・肺動脈弁)の閉鎖で生じ収縮期の終わりを示す。この2つは健常者で必ず聴取される基本の心音である。III音は拡張早期の急速流入期に、心房から流れ込む血液で心室壁が振動して生じる音で、心拍出量が多い小児・若年者・妊婦では生理的に聴かれることがある。これに対しIV音は拡張末期の心房収縮によって、硬くなった心室に血液を押し込むときに生じる音であり、心室のコンプライアンスが低下していない健常者では発生しない。「拡張期の過剰心音のうち、III音は条件次第で生理的、IV音は常に病的」と整理しておく。

✓ 4. 正しい
IV 音
心房収縮期(拡張末期)に生じる心房音で、左室肥大、高血圧性心疾患、大動脈弁狭窄症、虚血性心疾患など心室が硬くなった状態で出現する。健常者では聴取されない。心房収縮に依存するため、心房が有効に収縮しない心房細動では消失する点も特徴である。
✗ 1. 誤り
I. 音
房室弁の閉鎖音で、心尖部で最も強く聴取される。収縮期の開始を示す基本心音であり、健常者で当然聴取される。
✗ 2. 誤り
II 音
半月弁の閉鎖音で、心基部(第2肋間胸骨縁)でよく聴取される。吸気時に大動脈弁成分と肺動脈弁成分がずれる生理的分裂もみられる。健常者で当然聴取される。
✗ 3. 誤り
Ⅲ音
拡張早期の急速流入音で、小児・若年者・妊婦など心拍出量が増加した状態では生理的III音として聴かれうる。したがって「健常者で聴取されない音」には当たらない。ただし高齢者や心不全患者で聴取される場合は病的で、奔馬調律(ギャロップ)として重要な所見となる。
ポイント
  • I音=房室弁閉鎖(収縮期の始まり)、II音=半月弁閉鎖(収縮期の終わり)。ともに健常者で聴取される。
  • III音=拡張早期の急速流入音。若年者・妊婦では生理的に聴かれることがある。
  • IV音=拡張末期の心房収縮による音。常に病的で、健常者では聴取されない。
  • IV音は心室コンプライアンス低下(心肥大・高血圧・大動脈弁狭窄・虚血)を示唆し、心房細動では消失する。
  • 高齢者や心疾患を疑う患者でIII音が聴取される場合、およびIV音が聴取される場合は、ギャロップリズム(奔馬調律)として病的意義があり、心機能評価のため医師への紹介につなげる。
比較表
心音タイミング発生機序健常者での聴取
I音収縮期開始房室弁(僧帽弁・三尖弁)の閉鎖あり(必発)
II音収縮期終了半月弁(大動脈弁・肺動脈弁)の閉鎖あり(必発)
III音拡張早期急速流入による心室壁の振動若年者・妊婦などでありうる
IV音拡張末期心房収縮による硬い心室への流入なし(常に病的)
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