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理由で解く 柔道整復師

QJ31A127 病理学概論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問127
問題
ウイルスが原因となるのはどれか。
選択肢
1 乳癌
2 大腸癌
3 肝細胞癌
4 前立腺癌
解答
正解3(肝細胞癌)
解説

ウイルス感染が主要な原因となるのは肝細胞癌。B型・C型肝炎ウイルスの持続感染が背景にある。

B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)に持続感染すると、肝細胞の破壊と再生が長期にわたって繰り返される。この過程で遺伝子変異が蓄積し、慢性肝炎から肝硬変を経て肝細胞癌が発生する(HBVでは肝硬変を経ずに発癌することもある)。ウイルスが関与する腫瘍はほかにも、ヒトパピローマウイルスと子宮頸癌、EBウイルスとバーキットリンパ腫・上咽頭癌、HTLV-1と成人T細胞白血病/リンパ腫、ヘリコバクター・ピロリ(細菌だが同様に感染性発癌因子)と胃癌・MALTリンパ腫が代表的である。いずれも「持続感染による慢性の炎症と、細胞の破壊・再生の繰り返しが遺伝子変異を蓄積させて発癌に至る」という同じ筋道でつながっているので、病原体と腫瘍の対応を覚えるときはこの流れごと押さえておくとよい。

✓ 3. 正しい
肝細胞癌
HBV・HCVの持続感染による慢性肝炎から肝硬変を経て発生することが多い。ウイルスが原因となる代表的な癌であり、抗ウイルス療法とワクチンが予防の柱となる。
✗ 1. 誤り
乳癌
エストロゲンに曝露される期間の長さ(早い初経、遅い閉経、未産、閉経後の肥満)や、BRCA1・BRCA2などの遺伝的素因が主な危険因子であり、ウイルスが主原因とはされていない。
✗ 2. 誤り
大腸癌
多くは腺腫が段階的に遺伝子変異を重ねて癌化する。動物性脂肪の多い食事、肥満、運動不足、飲酒、喫煙が関与し、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群といった遺伝性素因もある。ウイルスが主原因ではない。
✗ 4. 誤り
前立腺癌
加齢とアンドロゲンの関与が大きく、家族歴も危険因子となる。PSA検査を契機に発見されることが多い。ウイルスが主原因ではない。
ポイント
  • 肝細胞癌=HBV・HCVの持続感染→慢性肝炎→肝硬変→発癌という流れが典型。
  • HPV→子宮頸癌、EBV→バーキットリンパ腫・上咽頭癌、HTLV-1→成人T細胞白血病/リンパ腫。
  • ヘリコバクター・ピロリ(細菌)→胃癌・MALTリンパ腫。感染性の発癌因子としてまとめて覚える。
  • 乳癌はエストロゲン曝露とBRCA、前立腺癌は加齢とアンドロゲンが主因。
  • 大腸癌は腺腫からの多段階発癌。食生活・肥満・遺伝性素因が関与する。
比較表
病原体関連する主な腫瘍
B型・C型肝炎ウイルス肝細胞癌
ヒトパピローマウイルス(HPV)子宮頸癌、中咽頭癌
EBウイルスバーキットリンパ腫、上咽頭癌
HTLV-1成人T細胞白血病/リンパ腫
ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8)カポジ肉腫
ヘリコバクター・ピロリ(細菌)胃癌、胃MALTリンパ腫
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