学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §9 腫瘍 / QJ31A126

理由で解く 柔道整復師

QJ31A126 病理学概論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問126
問題
良性腫瘍の特徴はどれか。
選択肢
1 転移
2 悪液質
3 強い異型性
4 膨張性増殖
解答
正解4(膨張性増殖)
解説

良性腫瘍の増殖様式は、周囲を押しのけながら広がる膨張性増殖。転移・悪液質・強い異型性はいずれも悪性腫瘍の特徴である。

良性腫瘍は増殖速度が緩やかで、正常組織との境界が明瞭であり、しばしば線維性の被膜に包まれる。この「押しのけて大きくなる」形が膨張性増殖で、周囲組織を破壊しながら入り込む浸潤性増殖(悪性)と対をなす。細胞の形態も母組織によく似ており、異型性は弱く、核分裂像も少ない。リンパ行性・血行性・播種性の転移は起こさず、全身への影響も乏しいため、悪液質のような消耗状態をきたすことは基本的にない。ただし、頭蓋内や気道など逃げ場のない場所に発生した場合の圧迫症状や、ホルモン産生腫瘍による内分泌症状は生命に関わりうる。したがって良性腫瘍でも、発生部位・大きさ・圧迫症状の有無・ホルモン産生の有無を確認したうえで、経過観察でよいか摘出などの治療を要するかを判断する。

✓ 4. 正しい
膨張性増殖
周囲組織を押しのけながら緩やかに増大する増殖様式で、境界が明瞭で被膜を伴うことが多い。良性腫瘍の代表的な特徴であり、悪性腫瘍の浸潤性増殖と対比される。
✗ 1. 誤り
転移
腫瘍細胞が原発巣を離れ、リンパ管・血管・体腔を介して離れた部位で増殖する現象。悪性腫瘍を定義づける性質であり、良性腫瘍にはみられない。
✗ 2. 誤り
悪液質
悪性腫瘍が進行した際にみられる全身の消耗状態で、食欲不振、著しい体重減少と筋肉量の低下、貧血、全身衰弱を示す。良性腫瘍では通常みられない。
✗ 3. 誤り
強い異型性
核の大小不同、クロマチンの増量、核/細胞質比の増大、異常核分裂などの形態的な逸脱を指し、悪性度の指標となる。良性腫瘍の細胞は母組織によく似ており、異型性は弱い。
ポイント
  • 良性腫瘍=膨張性増殖、境界明瞭、被膜あり、発育緩慢、異型性が弱い、転移しない。
  • 悪性腫瘍=浸潤性増殖、境界不明瞭、発育速い、強い異型性、転移する、悪液質をきたす。
  • 転移の経路=リンパ行性・血行性・播種性。転移は悪性腫瘍を定義づける性質。
  • 悪液質は進行癌の全身消耗状態(体重減少、貧血、全身衰弱)。
  • 良性でも発生部位(頭蓋内など)やホルモン産生により重篤化しうるため、部位・大きさ・圧迫症状・ホルモン産生の有無を確認して経過観察か治療かを判断する。
比較表
項目良性腫瘍悪性腫瘍
増殖様式膨張性浸潤性
発育速度緩やか速い
境界・被膜明瞭、被膜を伴うことが多い不明瞭、被膜なし
異型性・核分裂弱い、核分裂像は少ない強い、核分裂像が多く異常核分裂も
転移しないする
全身への影響乏しい悪液質をきたす
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