学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §4 退行性病変・代謝障害 / QJ31A119

理由で解く 柔道整復師

QJ31A119 病理学概論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問119
問題
加齢に伴って心筋に沈着する色素はどれか。
選択肢
1 メラニン
2 ビリルビン
3 ヘモジデリン
4 リポフスチン
解答
正解4(リポフスチン)
解説

加齢とともに心筋細胞に溜まる褐色の色素はリポフスチン。心臓では褐色萎縮の原因となる、いわゆる「消耗色素」である。

リポフスチンは、細胞内の膜脂質が活性酸素によって酸化され、リソソームで分解しきれなかった残渣が蓄積したものである。入れ替わりのない細胞ほど溜まりやすいため、心筋細胞・肝細胞・神経細胞に多くみられる。量が増えると臓器が肉眼的に褐色を帯び、加齢に伴う萎縮と重なった状態を褐色萎縮と呼ぶ。細胞を積極的に壊す毒物ではなく、その細胞が長く生き続けてきた履歴を示す指標と理解しておくとよい。色素沈着の問題は「何に由来する色素か」を押さえると整理しやすく、内因性色素はメラニン(チロシン由来)、ビリルビン・ヘモジデリン(ヘモグロビン由来)、リポフスチン(脂質酸化由来)に大別できる。

✓ 4. 正しい
リポフスチン
酸化された膜脂質の分解残渣が蓄積した黄褐色の消耗色素。分裂しない心筋細胞に加齢とともに蓄積し、心臓の褐色萎縮の原因となる。
✗ 1. 誤り
メラニン
表皮基底層のメラノサイトがチロシンから合成する黒褐色色素。日焼け、色素性母斑、悪性黒色腫、副腎皮質機能低下症(アジソン病)の色素沈着などで問題になるもので、加齢で心筋に沈着する色素ではない。
✗ 2. 誤り
ビリルビン
ヘモグロビンのヘムが分解されて生じる黄色色素。血中に増えると黄疸となり、皮膚・眼球結膜・組織が黄染する。溶血や肝・胆道の障害で問題になるもので、加齢に伴う心筋の沈着色素ではない。
✗ 3. 誤り
ヘモジデリン
鉄を含む黄褐色の色素で、ベルリン青染色で証明される。出血巣の吸収後、溶血、輸血の反復、ヘモクロマトーシスなどで沈着する。左心不全時に肺胞内に現れるヘモジデリン貪食マクロファージは心不全細胞と呼ばれるが、加齢そのもので心筋に溜まる色素ではない。
ポイント
  • リポフスチン=脂質の酸化残渣。加齢に伴い心筋・肝・神経細胞に蓄積する消耗色素。
  • リポフスチンの蓄積+萎縮=褐色萎縮。心臓・肝臓で問われやすい。
  • ヘモジデリン=鉄由来の黄褐色色素。ベルリン青染色で青く染まる。
  • ビリルビン=ヘム由来の黄色色素、黄疸の原因。メラニン=チロシン由来の黒褐色色素。
  • 内因性色素は「何に由来するか」で3群(脂質酸化・ヘモグロビン・チロシン)に分けて整理する。
比較表
色素由来沈着する主な場面関連する染色
リポフスチン膜脂質の酸化残渣加齢(心筋・肝・神経細胞)、褐色萎縮PAS陽性・ズダン親和性
ヘモジデリンヘモグロビンの鉄出血後、溶血、輸血反復、ヘモクロマトーシスベルリン青染色
ビリルビンヘムの分解産物黄疸(溶血・肝障害・胆道閉塞)
メラニンチロシン日焼け、母斑、悪性黒色腫、アジソン病フォンタナ・マッソン染色
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