学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §13 筋肉の機能 / QJ31A105

理由で解く 柔道整復師

QJ31A105 生理学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問105
問題
加齢による変化はどれか。
選択肢
1 残気量の減少
2 大腿直筋の筋量の減少
3 血中コルチゾール濃度の低下
4 大脳皮質視覚野の容積の減少
解答
正解2(大腿直筋の筋量の減少)
解説

加齢に伴って確実に起こる変化は、骨格筋量の減少(サルコペニア)です。大腿直筋を含む大腿四頭筋は特に減りやすいため、正解は2です。

加齢では、速筋線維(タイプII)の萎縮と運動単位そのものの減少が進み、筋の横断面積が小さくなります。とりわけ大腿四頭筋のような下肢の抗重力筋で目立ち、椅子からの立ち上がりにくさ、歩行速度の低下、転倒リスクの上昇として現れます。この変化は避けられないものではなく、レジスタンストレーニングと十分なタンパク質摂取によって維持・改善が期待できるため、高齢者の指導では下肢筋力の評価と運動の継続を具体的に組み立てることが大切です。他の3つは方向が逆であったり、変化が乏しかったりします。呼吸では肺の弾性収縮力が落ち胸郭が硬くなるため、残気量や機能的残気量はむしろ増加します。内分泌では、DHEAや成長ホルモンが低下する一方で、視床下部-下垂体-副腎系によるコルチゾール分泌は比較的よく保たれます。脳では加齢に伴う容積減少は前頭前野などで目立ち、一次視覚野は相対的に保たれやすい部位とされています。

✗ 1. 誤り
残気量の減少
方向が逆です。加齢では肺の弾性収縮力が低下し、胸郭のコンプライアンスも下がるため、息を吐ききっても肺に残る空気が増え、残気量・機能的残気量は増加します。一方で肺活量や1秒量は低下します。
✓ 2. 正しい
大腿直筋の筋量の減少
加齢による典型的な変化です。タイプII線維の萎縮と運動単位の減少により筋量が落ち、下肢の抗重力筋である大腿四頭筋(大腿直筋を含む)で顕著に現れます。運動と栄養によって進行を緩やかにできる点も押さえておきます。
✗ 3. 誤り
血中コルチゾール濃度の低下
コルチゾール分泌は高齢になっても比較的よく保たれ、加齢による低下を特徴とはしません。加齢で明らかに低下するのはDHEA(副腎アンドロゲン)や成長ホルモン、性腺ホルモンです。
✗ 4. 誤り
大脳皮質視覚野の容積の減少
加齢による脳容積の減少には部位差があり、前頭前野や海馬で目立つのに対し、一次視覚野は比較的保たれやすい部位とされます。4つの中で加齢変化として最も確実に選べるのは選択肢2です。
ポイント
  • サルコペニア=加齢に伴う骨格筋量・筋力の低下。タイプII線維の萎縮と運動単位の減少が主因。
  • 下肢の抗重力筋(大腿四頭筋など)で目立ち、立ち上がり動作・歩行速度の低下、転倒につながる。
  • 呼吸機能は「残気量・機能的残気量は増加、肺活量・1秒量は低下」。方向をセットで覚える。
  • 加齢で低下するホルモンはDHEA・成長ホルモン・性腺ホルモン。コルチゾールは比較的保たれる
  • 筋量減少は運動と栄養で改善しうるので、下肢筋力の評価とレジスタンス運動の継続を具体的に指導する。
比較表
項目加齢に伴う方向主な理由
残気量・機能的残気量増加肺の弾性収縮力低下、胸郭の硬化
肺活量・1秒量低下同上+呼吸筋力の低下
骨格筋量(特に下肢)減少タイプII線維の萎縮、運動単位の減少
血中コルチゾール比較的保たれる視床下部-下垂体-副腎系は加齢の影響を受けにくい
血中DHEA・成長ホルモン低下副腎アンドロゲン・GH分泌の加齢性減少
脳容積(前頭前野・海馬)減少が目立つ加齢変化の受けやすい部位
脳容積(一次視覚野)比較的保たれる部位差があり萎縮が軽度
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