学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §4 呼吸 / QJ31A098

理由で解く 柔道整復師

QJ31A098 生理学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問98
問題
安静時の吸息で正しいのはどれか。
選択肢
1 横隔膜の弛緩
2 内肋間筋の収縮
3 肺胞内圧の陰圧化
4 胸膜腔内圧の陽圧化
解答
正解3(肺胞内圧の陰圧化)
解説

吸息では横隔膜と外肋間筋が収縮して胸郭が広がり、肺胞内圧が大気圧より低くなる(陰圧化)ため、空気が流れ込む。

安静時の吸息は、横隔膜と外肋間筋の収縮という能動的な過程である。胸郭が広がると胸膜腔内圧は約-5から-8 cmH₂Oへとさらに陰圧になり、これに引かれて肺が広がる。肺胞の容積が増えると肺胞内圧が大気圧より1 cmH₂Oほど低くなり、その圧差によって空気が気道を通って流れ込む。一方、安静時の呼息は筋の弛緩と肺・胸郭の弾性による受動的な過程で、肺胞内圧が大気圧より高くなって空気が押し出される。胸膜腔内圧は安静呼吸のあいだ常に陰圧である点が、呼吸力学の要である。

✓ 3. 正しい
肺胞内圧の陰圧化
胸郭の拡大に伴って肺が広がると肺胞の容積が増え、内圧が大気圧より低くなる。この圧差が空気を肺内へ引き込む原動力になる。気流が止まった瞬間には肺胞内圧は大気圧と等しくなる。
✗ 1. 誤り
横隔膜の弛緩
横隔膜が弛緩して挙上するのは呼息時である。吸息では横隔膜が収縮して下降し、胸腔の上下径を広げる。安静吸息の主役となる筋である。
✗ 2. 誤り
内肋間筋の収縮
内肋間筋は肋骨を引き下げる呼息筋で、努力性呼息のときに働く。吸息で収縮するのは肋骨を引き上げる外肋間筋である。
✗ 4. 誤り
胸膜腔内圧の陽圧化
胸膜腔内圧は安静呼吸中つねに陰圧で、吸息ではより強い陰圧になる。陽圧になるのは強い努力性呼息のときや、気胸などで胸膜腔に空気が入った場合である。
ポイント
  • 安静吸息は能動的(横隔膜と外肋間筋の収縮)、安静呼息は受動的(肺・胸郭の弾性)。
  • 胸膜腔内圧は安静呼吸中つねに陰圧(吸息時 約-8、呼息時 約-5 cmH₂O)。
  • 肺胞内圧は吸息で陰圧、呼息で陽圧、気流がない瞬間に大気圧と等しい。
  • 努力性吸息では胸鎖乳突筋・斜角筋などの補助呼吸筋が加わる。
  • 努力性呼息では内肋間筋と腹筋群が働く。「内は呼息、外は吸息」と対で覚える。
比較表
安静時の吸息安静時の呼息
働く筋横隔膜・外肋間筋が収縮筋は弛緩(受動的)
横隔膜収縮して下降弛緩して挙上
胸郭の容積拡大縮小
胸膜腔内圧より強い陰圧(約-8 cmH₂O)陰圧(約-5 cmH₂O)
肺胞内圧大気圧より低い(陰圧)大気圧より高い(陽圧)
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